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帯電量でプラ自動分別、三菱電機が新サービス開始へ

帯電量でプラ自動分別、三菱電機が新サービス開始へ

三菱電機が自社開発している帯電量センサーの試作品(右)

三菱電機はプラスチック選別装置の販売から遠隔制御、保守、選別後の活用助言までを一括して行う「RaaS(リサイクルのサービス提供、仮称)」を事業化する。これに先立ち、帯電を利用した静電選別装置を高精度で連続的に自動制御する「スマート分別」の開発に着手した。欧州では新車で使うプラスチックの25%以上を再生品とする規則案が出るなど、世界的に需要の拡大が予想される。プラスチックのリサイクル率向上に向け、2024年度のサービス開始を目指す。

スマート分別で行う静電選別は、破砕したプラスチック同士を摩擦により帯電させ、高電圧のかかった電極の間に投入し、正負の帯電別に振り分ける仕組み。投入したプラスチックの帯電量や種類、質量をセンシングし、あらゆる混合比のプラスチックの分別に対応する。分子構造が近い材料の混合片や、光を吸収しやすい黒色のプラスチックなど、他の選別方法では難しい条件にも対応できる。

一方で制御が難しいのが課題だった。三菱電機はノウハウを蓄積し実用化しているが、他社への技術導入には装置運用を容易にする必要があると判断しスマート分別を開発する。

帯電状態に応じて分別容器の仕切りを動かす幅の見極めが難しかったが、スマート分別ではプラスチックの種類や帯電量、質量などに応じて自動で仕切りが移動する。帯電量センサーは求める性能の既存品が見つからなかったため、自社開発を進めている。

欧州では新車で使うプラスチックの25%以上を再生品とする自動車設計・廃車(ELV)規則案が出ており、今後、自動車業界ではリサイクルプラスチックの効率的な調達の必要性が高まると予想される。また他の業界でも世界的なリサイクルの要求に向けた需要を見込む。


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日刊工業新聞 2023年12月27日

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