電子情報産業の世界生産額は24年527兆円、過去最高更新に寄与する新ビジネス
電子情報技術産業協会(JEITA)は、2024年の電子情報産業の世界生産額が23年見込み比9%増の3兆6868億ドル(約527兆円)で過去最高となる見通しを発表した。デジタル化を背景に電子機器やデバイスへの需要が回復することに加え、ソリューションサービス市場が、生成人工知能(AI)や次世代インターネット技術「ウェブ3(スリー)」を活用した新ビジネスの創出でさらに成長する見込み。
製品別の24年の生産額見通しは、ソリューションサービスが23年見込み比12・2%増の1兆4740億ドルと過去最高を更新。IT投資の活発化やデジタル変革(DX)の進展が背景にある。
半導体も同13・1%増の5884億ドルと過去最高の見通し。生成AIの普及によるデータセンター(DC)の増強や電気自動車(EV)の普及による半導体の搭載率の拡大が寄与するようだ。電子部品はスマートフォンや自動車向けの需要回復やAIサーバーの増加により同7・2%増の2301億ドルとなる見込み。
海外生産分を含む日系企業の24年の生産額は同4・7%増の41兆5638億円と予想。23年は電子部品での在庫調整などが影響し、22年比0・7%減の39兆6843億円となる見通しだが、24年は増加に転じる見込みだ。
電子情報産業の成長を支える注目市場として生成AI市場の世界需要見通しも示した。世界需要額は23―30年にかけて年率53・3%成長し、30年には2110億ドルに達すると予測した。中でも製造分野は活用例が多岐にわたることから成長が著しく、30年には23年比21・1倍の507億ドルを見通す。
21日に都内で会見した小島啓二会長(日立製作所社長)は生成AIに著作権などの課題があることを踏まえ、「国際的な環境整備が市場(の拡大)を推し進める」と分析。製造分野に関しては「高齢化が進む中、技能やスキルを伝承する際に生成AIを活用できるのではないか」とした。