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地方の建設現場が期待「墨出しロボット」、省人化だけではない効果

ロボット変革―ゼネコン技術連合が描く未来像 #5
地方の建設現場が期待「墨出しロボット」、省人化だけではない効果

分科会で保有する墨出しロボット「スミダス」

設計図品質を安定・向上

建設RXコンソーシアムの墨出しロボット分科会は、デモンストレーションの実施や課題などに関する情報共有を行っている。2022年6月にスタートし、23年10月末時点でゼネコン18社による正会員のほか、鉄鋼商社や建機レンタル会社、大学発ベンチャーなど10社が協力会員として参加。各社からのメンバー登録は計58人に達した。

墨出しは、設計図の情報を建築現場で書き出す作業。建築に関わるほぼすべての業種に必要となる。ロボット活用を進めることで、生産性向上や作業環境の改善につなげるのが分科会のテーマだ。

建設業界は全体的に人手不足の状況が続く。特に現場で働く技能者の減少と高齢化は深刻な課題だ。墨出し業は適用範囲が広い分、ロボット活用への期待が大きい。単に人手の作業を機械に置き換えるのではなく、ロボットの稼働中に技能者が他の作業に従事することや、技能者とロボットが並行して墨出しを行うなど、さまざまな使い方が見込める。

現在、分科会で保有しているロボットは3種類。それぞれ特徴は異なるものの、小型・軽量で使いやすさの追求を共通のコンセプトとしている。

主査として分科会をまとめる竹中工務店生産本部生産企画部の出口明シニアチーフエキスパートはこれまでの活動を踏まえて、「各社がロボット導入で同じ課題を抱えていることが分かった」と指摘する。また分科会での情報交換によって「それぞれのロボットの違いを比較しやすくなった」(竹中工務店技術研究所未来・先端研究部建設革新グループの宮口幹太主席研究員)。

現場での導入により、省人化だけでなくさまざまな効果が見込めそうだ。例えば床のラインが曲線の場合、人が対応するのは難しくミスが発生する可能性もあるが、墨出しロボットを使えば品質の安定や向上につながる。

分科会ではこれまで把握した意見を基に今後、改良を進めていく方針。例えば、ユーザーインターフェースを分かりやすく改善することや、利用者のニーズに対応して適用範囲をさらに拡大することなどが想定される。

墨出し業者が不足している地方でのロボット活用への期待もある。「現場からの引き合いがきている」(出口シニアチーフエキスパート)と、関心の高まりに手応えを示す。

現時点で「いつまでに」といった時限的な目標設定はなく、将来の共同開発も視野に入れつつ、息の長いテーマとして取り組んでいく方針。ロボットを使ったことがない事業者への要請などを通じて業界全体に普及させることが分科会の共通認識になっている。(随時掲載)

日刊工業新聞 2023年12月20日

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