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空調消費最大7割減らす、竹中工務店が開発した独自「空調制御システム」の仕組み

空調消費最大7割減らす、竹中工務店が開発した独自「空調制御システム」の仕組み

デジタルツインによる空調制御システムを適用した「名古屋市国際展示場新第1展示館」

竹中工務店は仮想の空間センサーを使った独自の空調制御システムを開発し、このほど名古屋市国際展示場新第1展示館(名古屋市港区)に適用した。デジタルツイン技術で再現した仮想空間でシミュレーションを行い、実際に大空間の空調を制御する。多数のセンサーを生成できるためきめ細かい制御が可能になるほか、空調の消費エネルギーを従来比30―70%減らせる。

同システムでは空調機の給気温度や給気風量、サーモカメラから取得した人体の表面温度といった実空間のデータを基に、温度や風速を推定する仮想の空間センサーを使う。大空間では給気温度や壁面・ダクト内のセンサーなどの実測値を基に空調を制御する手法が一般的とされるが、これでは実際に人が滞留する空間に向けた細かい制御が難しい課題があった。

仮想空間でのシミュレーションによって得られた空間の温度や風速などの推定値は、中央監視装置に伝えられて快適性の指標となる予測温冷感指標(PMV)と比較。この結果を基に、実際の空調機器を制御する。シミュレーションは4、5分に1回の割合で実行され、自動制御にすぐ反映される仕組みだ。

日刊工業新聞 2023年3月14日

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