効率化コンクリート施工効率化…深刻化する人手不足の対応でゼネコンが知恵出し合う
建設RXコンソーシアムのコンクリート施工効率化分科会は、コンクリート工事に関係する作業の生産性向上と省力化、省人化に取り組む。深刻化する人手不足や進まない技能継承といった課題を背景に、既存システムの活用を含めた仕組みの構築を目指す。主査を務める清水建設生産技術開発センターの広瀬豊グループ長は「まずは省人化を進め、その上で生産性と両立させるのが理想。各社で知恵を出し合っていく」と意欲を見せる。
分科会は2023年6月ごろまでに、ゼネコン各社が開発・改良したり、建設現場での導入実績がある技術の共有を終えた。打設に用いるディストリビューターや均(なら)しに使うスクリード、押さえ用のトロウェルや鉄筋結束ロボットはその一例だ。さらに、開発途上の技術も共有。「取り組むべき内容を絞り込めた。互いに技術を使い使われることで課題を抽出し、解決していく」(広瀬グループ長)絵を描く。
これを踏まえ、分科会が足元で掲げるのが吐出したコンクリートを押し広げる「かっぱぎ」の作業効率化と配管の軽量化、配線のないバイブレーターの改良、そして表面の不陸を即時計測する技術の改良の4テーマ。「ロボット化ばかりではない」との声から、分科会名も「コンクリート系ロボット分科会」から改めた。いずれも作業負担の軽減と重労働イメージの払拭によって、若手の入職を増やす効果も引き出す。
例えばかっぱぎの作業効率化では、振動付きや自走式レーキの開発を加速。均し作業にレーザースクリードを活用する試みにも重きを置く。ただ、コンクリートは場所や季節によって性状が変わるため「特に均しや押さえは技能が求められ、同じ作業を繰り返すロボットの強みは生かせない」(同)。技能労働者と協働し、より良い“解”を探る構えだ。
すでに、技術開発の成果も出てきた。鹿島と竹中工務店はコンクリート床の仕上げに使う「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を完成。ガソリンエンジンで駆動する従来機種が閉塞(へいそく)空間で欠かせなかった換気設備や、エンジン駆動音への配慮などを不要にした。電動モーターで動く一部機種に対しても、バッテリー式のため有線ケーブルが必要でパワーも足りないなど従来機種の課題を解消してみせた。
ただ、広瀬グループ長は「技術的な解決だけでなく、いかに現場に浸透させられるかが重要」と強調する。運用面のハードルもある。分科会が開発した機械や装置は、将来は建機レンタル会社に保有・貸し出してもらう形式を想定する。操作・メンテナンスの両面で使いやすい機械・装置の追求が不可欠だ。