韓国に半導体材料の研究開発拠点、富士フイルムが現地向け開発
富士フイルムは2024年度をめどに、韓国に半導体材料の研究開発体制を整備する。現地顧客向けの製品開発や品質評価を中心に担い、各種分析装置などを現地拠点に導入する。24年春に稼働する新工場(平澤市)内を有力候補とし、日本から研究員を派遣予定。日本と米国、欧州、台湾に加え半導体メーカーが集積する韓国でも開発機能を持ち、世界5極体制で高度化する材料ニーズに応える。
富士フイルムは韓国・天安市に工場を持ち、CMPスラリーと現像液を生産する。新工場では、イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産を計画。韓国向けには前工程用を中心に、同社が手がけるほぼ全ての半導体材料で供給実績があるという。顧客の要望に沿って迅速に製品開発を進められる環境を整え、韓国市場でのシェア拡大を目指す。
先端半導体は製造プロセスが複雑化し、回路形成や洗浄などに使用するさまざまな材料の精度要求が厳格化している。次世代品の開発競争も激化しており、化学各社は顧客の半導体メーカーが集積する韓国や台湾などの海外で研究開発体制の拡充を進めている。
韓国ではフォトレジスト大手の東京応化工業が約70億円を投じ、仁川広域市の拠点に品質検査を手がける新棟を建設。26年上期の稼働を予定する。高誘電材料などを手がけるADEKAも韓国の研究開発拠点を華城市に拡張移転し、延べ床面積を7倍にした。
富士フイルムは現在、韓国市場向けの研究開発業務に日本や米国の拠点で対応している。開発業務の現地化に加え、既存の日米欧台の研究開発機能と連携することによる課題共有や技術提案の促進を図る。
【関連記事】 日本が誇る総合素材メーカーはどこまで世界と戦えるか
日刊工業新聞 2023年12月13日