住友化学が半導体材料強化へ川上狙う、化合物開発で新組織立ち上げ
住友化学は半導体関連の研究開発体制を拡充する。研究開発拠点で、複雑な構造の化合物開発に取り組む新組織を発足。半導体やディスプレー関連で使われる製品開発において、より川上から対応する考えだ。同社は半導体や電子材料を成長領域と捉えている。製品開発などの需要によりきめ細かく対応できる体制を整えることで、事業成長につなげる。
住友化学の情報電子化学品研究所(大阪市此花区)に、新たに「コアマテリアル合成グループ」を設けた。半導体の微細化など性能の向上に寄与する素材開発のほか、ディスプレー関連では有機ELの進展などを捉えてさらに性能を引き上げられる液晶化合物の研究開発を進める。
情報電子化学品研究所では液晶や有機ELなどのフラットパネルディスプレーに使用される素材のほか、半導体の製造工程で用いられるフォトレジストや、化合物半導体材料などの研究開発を手がけている。新組織の始動により、半導体関連材料や偏光板などに関する、より川上の素材需要に対応できるようにする。
同社は足元の業績が振るわず、2024年度に業績のV字回復を目指している。ただ半導体やディスプレー関連の製品を含む情報電子化学部門は、半導体材料の出荷減少の影響を受けながらも24年3月期連結業績予想で330億円のコア営業利益を見込む。
当面は事業構造の見直しと併せて、将来の半導体関連需要の伸びを見据えた体制づくりを推進。開発需要によりきめ細かく対応できる体制を整えることで事業成長につなげたい考えだ。
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日刊工業新聞 2023年12月12日