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三菱ケミカルG・住友化学…総合化学5社「石化事業」赤字相次ぐ

三菱ケミカルG・住友化学…総合化学5社「石化事業」赤字相次ぐ

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稼働率低迷続く

総合化学5社の2023年4―6月期連結決算は、石油化学関連事業の落ち込みが顕著だった。5社の石化や基礎化学関連の営業損益(国際会計基準の三菱ケミカルグループと住友化学三井化学の3社はコア営業損益)が赤字となった。中国や欧米を中心とした需要回復の遅れに、ナフサなど原燃料価格の急激な低下に伴う在庫評価損などが重なった。今後、需要は緩やかに回復する動きも予想されるが、予断は許さない。

総合化学5社の23年4―6月期連結決算で、石化関連に関わる事業などを対象セグメントとしたところ、全社が営業赤字(国際会計基準の3社はコア営業赤字)。三菱ケミカルグループの中平優子最高財務責任者(CFO)は石化関連の需要動向について「川下の用途が中国や欧米の(需要の)後退を受けて落ちている」と分析する。

住友化学の佐々木啓吾常務執行役員は「中国を中心に末端の需要が振るわない。低いマージンが続いている」とみる。同社はサウジアラビアの石化合弁会社、ペトロ・ラービグの業績低迷も響いた。

総合化学5社は石化関連で需要低迷や市況の影響を受けた(三菱ケミカル茨城事業所のナフサクラッカー)

中国や米国といった主要国での需要回復が遅れた影響などにより、国内のエチレンプラントの稼働率は「低空飛行」だ。石油化学工業協会の統計では、直近の3月と6月に稼働率が8割を切る事態となった。6月まで好不況の目安である稼働率9割を11カ月連続で下回った状況だ。

原燃料価格の市況の影響もある。例えば石化製品の基礎原料となるナフサの動きだ。財務省の貿易統計によると23年4―6月期の国産ナフサ基準価格(1キロリットル当たり)は6万7500円で確定した。前年同期の価格8万6100円に比べると約2割の下落。原燃料価格の下落を受けて交易条件は改善したものの、前年同期比の在庫評価損が業績に響いた。

三菱ケミカルグループは石化・炭素事業で原料価格の下落に伴う在庫評価損益として、計5億円のマイナス(前年同期は計297億円のプラス)影響があった。旭化成は需要低迷に在庫影響などが重なり、環境ソリューション事業のうち特に石化が関わる基盤マテリアル事業で51億円の営業赤字(同83億円の黒字)。東ソーもクロル・アルカリ事業で在庫受払差の悪化などにより、36億円の営業赤字(同97億円の黒字)だった。

通期予想で4社黒字、収益向上へ改革推進

一方で回復を見据える向きもある。24年3月期連結業績予想では、住友化学を除く4社が石化関連での営業黒字を見込んでいる。東ソーは足元で、インドの塩化ビニール樹脂(PVC)の市況が改善してきたことを明るい兆しと捉えている。住友化学などは、石化関連事業の改善に向けてさまざまな構造改革に取り組んでいく方針だ。

三井化学の中島一代表取締役専務執行役員は「もっと収益力を高めるため、体質強化などに引き続き取り組んでいく」と意気込む。個社だけでなく連携による対応策も視野に入れている。

一方、三菱ケミカルグループは石化・炭素事業の分離の方針について、ジョンマーク・ギルソン社長が「変更はない。第3四半期に発表するスケジュールを維持している」と話す。

石化関連をめぐる動きは世界経済の情勢や市況を含めて予断を許さない状況が続く。改善の取り組みとともに、需要を捉えた対応の重要性が一段と増しそうだ。


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日刊工業新聞 2023年08月18日

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