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住友化学がリサイクル技術で世界を狙う、CR活発化

住友化学がリサイクル技術で世界を狙う、CR活発化

愛媛工場に設置したアクリル樹脂のケミカルリサイクル実証設備

住友化学は持続可能な社会の実現に向けてリサイクル技術の事業化を加速している。バイオエタノールを原料とするエチレンの製造、アクリル樹脂のケミカルリサイクル(CR)などの取り組みを活発化。まずは日本で技術を確立した上で、新興国などグローバルでの展開を視野に入れる。カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)への貢献を狙いに取り組みを一段と強化する考えだ。

「プレゼンスを維持するためには化石資源由来の原燃料を使用した一方通行的な産業から、炭素循環をベースとした産業にしていくしかない」。岩田圭一社長はこう力を込める。

そのために重要だと捉えるのが革新的な技術開発。同社が力を入れるのがCR関連だ。住友化学はバイオエタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場(千葉県市原市)に設けた。積水化学工業が生産したゴミ資源由来のエタノールを活用し、住友化学がエチレンにする。最終的にポリオレフィン樹脂を製造する。2025年度の事業化を目指す。

愛媛工場(愛媛県新居浜市)では、アクリル樹脂のCR実証設備を導入。新居浜市とアクリル製飛沫(ひまつ)防止板の地域内資源循環プロジェクトに乗り出した。また新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金に採択されたCR関連技術の開発にも取り組む。

一連の環境技術について、岩田社長は「社会実装は日本が最初だが、発展途上国などへの展開もある」と見据える。カーボンニュートラルに資する技術は自社だけでなく、ライセンス供与などを通じて経済成長とカーボンニュートラルを両立させビジネスとしてグローバル展開が可能との見方だ。

住友化学の石化製品などを手がけるエッセンシャルケミカルズ部門は、日本・シンガポール・サウジアラビアに製造拠点を有する3極運営が基軸。岩田社長は「特に日本とシンガポールは一体運営。日本とシンガポールでお互いが作りやすい製品を融通し合える」と説明する。例えば、愛媛工場に設けたアクリル樹脂のCRについては「シンガポールをベースにアジアでビジネス展開できるだろう」(岩田社長)と見据える。

脱炭素が経済・社会の本流となる中、企業にとっては技術の高度化や対応の迅速化などが求められている。住友化学が取り組む国際的な連携も今後さらに重要性を増しそうだ。


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日刊工業新聞 2023年09月04日

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