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住友化学・旭化成・三井化学…脱炭素・DX施策積極化で新需要開拓へあの手・この手

住友化学・旭化成・三井化学…脱炭素・DX施策積極化で新需要開拓へあの手・この手

旭化成の固液分離フィルター「ユーテックナノ」

大手化学メーカー各社が、カーボンニュートラル温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)やデジタル変革(DX)の施策を積極化している。カーボンニュートラルに貢献する技術や製品、効率化や環境負荷低減に資するDX戦略は、新たな需要開拓や価値創出に欠かせない。各社は社会実装に向けて取り組みを推進する。(山岸渉)

住友化学は展示会などで菌根菌やCO2吸着材など幅広いソリューションを紹介している

「個別の課題に対応した幅広いソリューションを提案する」。住友化学生産技術部の白岩淳二部長はこう力を込める。住友化学は植物による土中の水分・養分の吸収を促す「菌根菌(きんこんきん)」、触媒技術を活用したCO2吸着材など幅広い環境負荷の低減につながる技術を手がける。菌根菌では将来、植物からCO2を吸収して土壌に貯留する仕組みの開発も視野に入れる。

旭化成三井化学と共同で出資して10月2日付で設立する予定のエム・エーライフマテリアルズ(東京都中央区)で、不織布技術を生かした液液分離フィルター「ユーテック」、固液分離フィルター「ユーテックナノ」の提案に力を入れる。液晶パネル部品洗浄での廃液削減などにつながる点を訴求する。今後、抽出・分離プロセス向けでは静置分離が不要な新たなシステムの開発に取り組む。

大阪工場カーボンニュートラル構想などを掲げる三井化学

三井化学はサステナブル原料やアンモニア燃料への転換を進める大阪工場カーボンニュートラル構想、レゾナックは川崎事業所(川崎市川崎区)での使用済みプラをアンモニアや水素にリサイクルする事業を推進する。

一方、DX関連では三菱ケミカルグループが変革するためのデジタルビジネスアジリティ(敏しょう性)を持つ組織「デジタルケミカルカンパニー」を目指す。全従業員約7万人について意欲を持ってデジタル技術を生かせる「スマート人材」に育成する方針だ。

九州事業所(福岡県北九州市)で11月稼働の乳化剤の新工場について26年頃から主力拠点の三重事業所(三重県四日市市)からリモート運転できるようにする考え。三重事業所の高い製造技術やノウハウを生かす。

三菱ケミカルグループの佐野吉邦デジタルストラテジックプランニング本部長は「物流の効率化でGHG削減につながる。事業部門と密に連携しながら一緒に取り組みたい」とデジタル技術が脱炭素にも貢献できるとみている。

化学各社は一連の脱炭素やDXの戦略が新たな競争力を生み出すとみて強化を急ぐ考えだ。

日刊工業新聞 2023年9月26日

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