「腹落ちしない」(ソフトバンク社長)・「ガラパゴスへの回帰だ」(楽天モバイル会長)…NTT法廃止に181者が反対
KDDIとソフトバンク、楽天モバイルなど全国の電気通信事業者や自治体ら181者は4日、NTT法の廃止に反対する意見をあらためて表明した。自民党のプロジェクトチーム(PT)は2025年をめどにNTT法の廃止を目指す提言をまとめたが、高橋誠KDDI社長は「市場を形成するさまざまな企業や国民の声を十分聞いたものとは言えない」と指摘。国益や国民生活を損ねるとしてオープンな場での議論を十分尽くすべきだとした。
高橋KDDI社長のほか、宮川潤一ソフトバンク社長、三木谷浩史楽天モバイル会長、村田太一日本ケーブルテレビ連盟専務理事による共同会見を同日に都内で開いた。 高橋社長は、研究成果の開示義務の撤廃など国際競争力強化につながるNTT法の見直しには賛成する一方、「NTT法は単に利益のみを追い求める巨大企業をつくることが国民や市場の利益にならないという視点で制定された。今なおその役割を果たしている」と説明。「NTT法の廃止が(NTTの)市場支配力の強化につながることを最も懸念している」とした。
具体的には、国民負担で建設した全国約7000の通信局舎など競争事業者が構築し得ない規模の“特別な資産”を持つNTTの市場支配力が増せば「競合事業者が安心して投資できなくなる」と指摘。サービスの高度化や多様化が停滞して「国民の利益に直結する相当大きな影響を及ぼす」とNTT法の維持に理解を求めた。
宮川ソフトバンク社長も「なぜNTT法をなくさなければいけないのか腹落ちしない」と批判する。三木谷楽天モバイル会長も「“大NTT”を復活させるような動き。ガラパゴスへの回帰だ」と述べた。
日刊工業新聞 2023年12月05日