「X」で論戦過熱…NTT法見直し議論の行方
通信大手トップ、公開議論の場求める
NTT法の見直しをめぐる論戦が短文投稿サイト「X(旧ツイッター)」上で過熱している。NTTと競合する通信大手3社のトップは互いの投稿を連携し合い、NTT法を維持するべく共闘する。これに対し、NTTは広報室のアカウントで競合3社それぞれの主張の矛盾を突く見解を投稿した。LINEヤフーの川辺健太郎会長や実業家の堀江貴文氏らも4社の投稿に反応している。国民に開かれた形での議論が進むか注目される。(編集委員・水嶋真人)
「『税金で整備した光ファイバー網を持つNTTの完全民営化は愚策』説の勘違い 保有資産は最終的に株主に帰属するのでこの主張はナンセンスな話です」―。NTT広報室のXアカウントが楽天モバイルの三木谷浩史会長の投稿を引用した“異例の投稿”を行い、Xユーザーの間で話題を集めた。
三木谷会長は14日、自身のアカウントで「国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」と投稿。ソフトバンクの宮川潤一社長やKDDIの高橋誠社長も三木谷会長の投稿を引用し、2025年までのNTT法廃止を求める提言原案を作成した自民党プロジェクトチームに猛反発した。
3社は、NTTが25兆円という国民財産で全国に構築した通信局舎や電柱などの「特別な資産」を持つことをNTT法維持の理由とする。NTT広報室はこの意見にもX上で反論。KDDIに対し、「KDD(現KDDI)が日本電信電話公社から分離した際、電電公社の資産を引き継いでいますが、KDD法を廃して完全民営化した際も、そのまま資産を保有して事業をやっています」と指摘した。
ソフトバンクにも「元々の母体である日本テレコムが国鉄から分割された際、国鉄の通信資産を受け継いでいますが、そのまま事業をやっています。JRは民営化後も線路はJRの保有のままです」と反論した。
これらのNTTの主張に対し、宮川ソフトバンク社長が「政治の力を借りるのではなく、互いにわだかまりが残らないように議論を尽くしましょうよ」と投稿。高橋KDDI社長は「公開の議論のもと、方向性を決めていただきたい」とX上で主張した。三木谷楽天モバイル会長も「国民目線で多面的に慎重に議論をするべきであり、情報通信分野に強い議員を抜きに『どさくさにまぎれて』進めようとするのは『正気の沙汰』とは思えない」とした。
堀江氏は「あくまでもポジショントークです」と、各社とも自社に有利な情報しか話さない状況だとの見解を示したが、川辺LINEヤフー会長は「徹底的に公開討論してほしいです、X上で」と反応している。
20日には競合3社がそれぞれの公式アカウントで投稿し、オープンな場での丁寧な議論を改めて要望した。多くのXユーザーの関心を集める中、自民党や総務省だけでなく、国民に開かれた場所での議論が求められる。