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新NISA顧客取り込む…「PayPay」連携深化、金融商品は3.5倍に

PayPay証券が100万口座へ

PayPay証券(東京都千代田区、番所健児社長)は、2024年の少額投資非課税制度(NISA)拡充を受け、金融商品を強化する。米国株、日本株、投資信託、上場投資信託(ETF)の現状の取扱銘柄数について、年内に現状比約3―3・5倍の500―600銘柄に増やす。6000万人を超えるスマートフォン決済サービス「PayPay」の顧客基盤を生かして投資未経験者の利用を促す。現状の累計口座数52万口座を100万口座に、早期に引き上げる目標だ。

ネット取引口座数

スマートフォン専業証券会社のPayPay証券は、前身のOne Tap BUYにソフトバンク、みずほ証券などが出資し、21年に社名変更した。その後はPayPayの知名度を生かして2年間で口座数を3倍に伸ばした。口座開設者の6割以上が投資未経験者だ。10月からNISA口座開設の受け付けを始め、1カ月で申込件数が5万件を突破している。

同社アプリは少額から手軽に投資を始められるの特徴だ。PayPayマネーやPayPayポイントを使って100円から全173銘柄に投資できる。新NISA開始を見据え、年内までに売れ筋の投資信託200銘柄程度を追加するほか米国株や日本株、ETFの品ぞろえを増やす。

4月に出資して35%保有の筆頭株主となったPayPayとも連携を深める。PayPayのアプリからPayPay証券のアプリへとスムーズに利用を促せるようにアプリの改良を行う。共同のキャンペーンも企画する方向だ。

主要株主のみずほ証券とも協業を発展させる。投資助言を求めるニーズも今後出てくるため、富裕層を対象に対面でのコンサルティングサービスに経験と知見を持つみずほ証券の協力を得ることも検討する。投資一任契約によるサービスや専用ファンドの立ち上げも検討する。

インタビュー・投資家の裾野広げる/社長・番所健児氏

PayPay証券の番所健児社長に新NISAに向けての戦略や展望について聞いた。(編集委員・川口哲郎)
PayPay証券の番所健児社長

―新NISAの顧客を取り込む方策は。
「投資の裾野が広がる中、投資未経験者や初心者に寄り添ったサービスが重要になる。投資への取り組みやすさ、分かりやすさを追求すべくプロダクトを日々改善している。決済アプリ『PayPay』から直接申し込む顧客が大きな割合を占める。6000万人のタッチポイントを押さえているのが最大の強みだ」

―PayPayと連携を深める方向性は。
「4月に出資を受けた背景には、新NISAを機に証券ビジネスの領域が大きく広がっていることがある。筆頭株主になることで連携するマーケティングなどは加速度的にスピードを上げられる。ユーザーインターフェース(UI)や顧客体験(UX)も非常に優れており、学ぶべき所が多い」

―新NISAに対応するため、どんな取り組みを強化しますか。
「長期・分散、積み立て投資を始めるにあたり、基本的な機能はアプリに備わっている。今後、金融商品のメニューを増やし、年内に完了させる。『新NISAを始めるならスマホにPayPay証券が入っていれば十分』という状況でスタートしたい」

―LINE証券が証券サービスから撤退するなどスマホ専業証券のプレーヤーが減っています。
「新しいビジネスモデルに挑戦するタイミングだと捉えている。証券業界はここ数年で顧客が広がってきたとはいえ、トレーダー層を相手に収益を上げるビジネスが主力だ。新NISAをきっかけにフローで稼ぐビジネスからストックで収益を上げるビジネスに変わっていく。日本の投資家の裾野を広げることに貢献したい」

日刊工業新聞 2023年11月21日

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