燃料費高騰が打撃の携帯通信大手の業績、大規模通信障害のKDDIは?
携帯通信大手3社の2023年3月期連結業績予想(国際会計基準)は全社が営業増益を見込むものの、燃料費高騰が不安材料として浮上している。現状、燃料高による業績への影響は軽微とみられるが、基地局などの維持コスト増加につながる懸念もある。3社は通信料値下げに伴って個人向け通信事業が落ち込む中、法人事業や金融といった非通信分野の拡大に力を注いでいる。追加費用の発生を抑え、同分野の成長投資に資金を回せるかが課題となる。
KDDIは22年4―9月期連結決算が営業減益だった。7月の大規模通信障害や燃料高騰が148億円の減益要因になった。うち、50億円強が燃料高の影響。23年3月期の業績予想は据え置いたが「下期は、政府が対策を打つということで期待はしているが、(燃料の)原価は上がってくるだろう」(高橋誠社長)と予想する。
ソフトバンクは、10月に子会社化したスマートフォン決済のPayPay(ペイペイ、東京都千代田区)の再評価益を計上することを受け、23年3月期の営業利益見通しを上方修正した。今後の懸念の一つが燃料高騰で、宮川潤一ソフトバンク社長は「電気代の値上げは経営を圧迫している。電気通信事業者としてかなりの電気量を使用しており、発電側に回らないといけないのではないかと議論している」と明かした。
NTTドコモは8日、23年3月期の連結業績予想を据え置くと発表した。22年4―9月期連結決算は、営業利益が前年同期比0・1%増の5765億円。法人事業や、金融・決済をはじめとする「スマートライフ事業」が堅調だった。一方、電気料金高の影響は「ドコモグループで約100億円。通期ではその倍」(井伊基之社長)を見込む。
日刊工業新聞 2022年11月09日