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川崎重工が通期予想を下方修正…航空エンジン不具合で特損580億円

川崎重工業は8日、参画する航空機エンジン「PW1100G―JM」の不具合問題を主因に、2024年3月期連結決算業績予想(国際会計基準)を下方修正した。事業利益は従来予想比380億円減の400億円(前期比51・4%減)、当期利益は同350億円減の120億円(同77・4%減)に引き下げた。不具合問題により、4―9月期に事業損益段階で約580億円の損失を計上したことが響く。1株当たりの配当予想も同40円減の40円とした。

同日開いた会見で山本克也副社長は、「分担していない不具合から出た費用を負担せねばならず、契約のリスクを改めて自覚した」と述べた。同エンジンは約3000台の追加検査が必要になり、搭載機は今後地上駐機が見込まれる。川重は約5・8%のシェアで参画しており、補償や追加整備費用をシェアに応じて負担する。

単位億円、増減率%、下段通期見通し▼は赤字・マイナス。配当がある場合の上段カッコ内は前の期の実績、下段通期見通し

24年3月期の事業損益は、為替の円安進行で従来予想比187億円のプラス要因を見込むものの、エンジンの損失分をカバーしきれない。部門別では2輪・4輪車が主力の北米などが好調で500億円を稼ぎ、業績を支える。一方、精密機械・ロボットは中国の建設機械市場や半導体市場が落ち込み、従来予想比30億円減の30億円にとどまる。

売上高は従来予想比600億円減の1兆8400億円(前期比6・6%増)を見込む。

23年4―9月期連結決算は当期損益が233億円の赤字だった。4―9月期の赤字は3期ぶり。開示を始めた03年4―9月期以降で2番目に大きい赤字額になる。


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日刊工業新聞 2023年11月09日

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