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IHIが15年ぶり最終赤字900億円、航空機エンジンの不具合響く

IHIの稼ぎ頭の航空機エンジン事業が、一転して業績を大幅に押し下げる。同社は25日、国際共同開発に参画する航空機エンジン「PW1100G―JM」の不具合問題などにより、2024年3月期連結業績(国際会計基準)の最終損益が900億円の赤字になる見通しだと発表した。15年ぶりの最終赤字で、赤字額は過去最大。今後見込まれる航空会社への補償費用や追加整備費用を同期に一括計上する。

共同開発相手の米国企業が同エンジンの部品製造で不具合を起こしたことで、24―26年に平均350機の地上駐機が見込まれ、関連費用が発生。IHIは参画シェアの約15%分を負担するため、営業損益ベースで影響額は1600億円になる。

IHIの23年3月期の営業利益のうち、航空機エンジンを中心とする部門が約4割を占めるなど稼ぎ頭の製品から一転、巨額の赤字をもたらす。

ただ、今後の費用を一括計上するため、追加の費用負担は発生しないという。25年3月期以降は、経済再開の航空需要回復を取り込んだ成長軌道に復帰すると見通す。

不具合の収束にも取り組む。対象エンジンの追加検査に協力するため、整備拠点の鶴ケ島工場(埼玉県鶴ケ島市)の整備能力を3年後に約2倍まで増強する。同日会見した盛田英夫取締役常務執行役員航空・宇宙・防衛事業領域長は「疑義のあるエンジンを早く交換して安全に飛ぶため、パートナーとして支援する」と決意を示す。

日刊工業新聞 2023年10月26日

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