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旭化成が400億円投資、リチウム電池向けセパレーター塗工増強

旭化成が400億円投資、リチウム電池向けセパレーター塗工増強

LiB用湿式セパレーター「ハイポア」の塗工能力を増強する

旭化成は31日、約400億円を投じ、リチウムイオン電池(LiB)向け湿式セパレーターの塗工能力を増強すると発表した。日本や米国、韓国の計3工場で生産体制を整備し、塗工の生産能力を従来比約2・4倍の年約12億平方メートルに引き上げる。2026年度上期から順次商業運転を開始する計画。電気自動車(EV)など車載用途を中心に成長が見込まれるLiB用セパレーターの旺盛な需要に対応する。

旭化成はLiB用湿式セパレーター「ハイポア」としてポリオレフィン微多孔膜(基材膜)と、基材膜の上にセラミックなどを塗工した膜(塗工膜)の2種類の製品を供給している。特に車載用途で塗工膜に対する需要が増えており、塗工に関する生産体制を強化する考えだ。

日向工場(宮崎県日向市)、米国ノースカロライナ州シャーロット、韓国平澤市の工場で塗工の生産体制を増強する。塗工の生産能力を年約7億平方メートル増やし、同社全体の塗工の生産能力は年約12億平方メートルとなる。EV換算で約170万台に相当する供給能力を有することになるという。今回の設備投資を通じて北米や日本、韓国などの市場で、より高機能な車載向け湿式セパレーターを供給できる体制を整える。

これまでも同社はEV需要拡大への対応としてハイポアの生産能力を増強している。日向工場ではハイポアの生産能力について約3億5000万平方メートル引き上げ、24年度上期の稼働を計画する。


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日刊工業新聞 2023年11月01日

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