「超電導モーター」で世界に先駆ける…次世代航空機の競争力確保、経産省が開発支援
経済産業省は次世代航空機向けに極低温冷却で電気抵抗をゼロにする超電導モーターを用いた電動推進システムの開発支援に乗り出す。航空業界では脱炭素の達成に向け、航空機の電動化が進む見通し。二酸化炭素(CO2)排出量削減に寄与する中核部品として期待される推進システムの実用化を後押しし、次世代航空機分野での競争力確保につなげる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じ、大学や民間事業者などに開発を委託する。2024年春にも公募を始める。事業期間は27年度までの3年間。
超電導モーターを用いた電動推進システムは超電導モーター、超電導発電機、冷却システムなどで構成する。ガスタービンと発電機で発電した電力でモーターを回して推進力を得る。ジェットエンジンによる現行の推進システムと比べ、燃焼によるCO2排出量を大幅に削減できる。超電導モーターの高出力化や冷却技術の高度化を支援し、推進システムの開発につなげる。
航空業界では国際民間航空機関(ICAO)が50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目標に掲げる。航空機メーカーや部品メーカーが電動航空機、水素航空機など次世代航空機の実用化に向け、動き出している。
日本は超電導技術に優位性を持つ。経産省は世界に先駆け超電導技術採用の電動推進システムを開発し、航空業界の脱炭素化に貢献するとともに、航空機産業における日本の国際競争力の強化につなげたい考え。
国内では九州大学が次世代航空機向け出力400キロワット級超電導モーターの回転試験に世界で初めて成功した。東芝も航空機向け超電導モーターの研究開発を進めている。
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日刊工業新聞 2023年10月27日