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岐路に立つ半導体・電子部品商社、成長に影落とす商習慣と生き残りへ模索する一手

市況悪化・顧客在庫調整など影響

半導体・電子部品商社が岐路に立っている。直近の業績は好調な会社が多い一方、2024年3月期の営業減益を見込む企業は22社のうち17社に上る。半導体市況の悪化や中国経済の減速、仕入れ先のメーカーによる販売代理店の絞り込みといった懸念材料がくすぶり、業界再編の動きも再燃している。各社は新たな経営の柱の構築が急務だ。既存事業と新規事業にバランス良く取り組める体制を構築し、中長期の成長につなげられるかが焦点となる。

半導体・電子部品商社 上場大手5社の連結営業利益

国内上場大手5社の23年3月期連結決算は営業利益が全社増益となった。マクニカホールディングス(HD)、加賀電子、レスターHD、トーメンデバイス、リョーサンがいずれも営業増益を達成。一方、24年3月期の連結営業利益に関しては、マクニカHDを除く4社が減益を見込んでいる。

半導体市況の落ち込みや為替の円安効果剝落などが減益要因になるほか、顧客の在庫調整も影響するとみられる。過去のモノ不足を背景に顧客が積極的に先行発注した結果、在庫が増え、調整が続くことで需要の回復に時間がかかるという見方がある。顧客から納期の先延ばしを要求されるケースも出ているといい、商社の在庫も増加傾向だ。

以前からあり中長期的にも懸念されるのが、仕入れ先の半導体メーカーによる代理店の絞り込みや直販の強化などで商権を失うリスク。「特に、海外メーカーはドラスチック(抜本的)に(代理店を)変えてくるので、苦労している」(中堅商社首脳)。

加えて業界特有の商習慣「シップ&デビット」も商社の成長に影を落とす。メーカーが高い正規価格で代理店に在庫を仕入れさせ、それより安い価格で代理店が顧客に販売した後、代理店にデビット処理(返金)する手法だ。ある商社のトップは「(半導体商社の)財務状況を厳しくしていることは間違いない」と漏らす。

半導体・エレクトロニクス業界のコンサルティング会社、グロスバーグ(東京都世田谷区)の大山聡代表は「規模の小さな商社が乱立しており、その多くが上場しているものの、株式市場での評価が極めて低い。このままでは多くの商社が将来立ち行かなくなる危険性が高い」と危惧する。23年3月期は上場企業22社のうち15社が株価純資産倍率(PBR)1倍割れとなった。

M&A・新規事業創出進む

商社は勝ち残りに向けた次の一手を模索し続ける必要がある。その一つがM&A(合併・買収)。16日、菱洋エレクトロとリョーサンが共同持ち株会社の設立による経営統合に関する最終契約を結んだと発表した。

半導体・電子部品商社をめぐる主な動き

新規事業の創出に注力する商社も多い。グロスバーグの大山代表は「電子機器製造受託サービス(EMS)事業の強化、オリジナル製品の育成、エネルギー事業への参入などが散見される」とした上で「いずれも利益率を増やせない、規模の拡大が難しいなど、見通しが芳しくない」と指摘する。商社は持続的な成長に向けてまいた種を、いかに早く実らせるかがカギになる。


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日刊工業新聞 2023年10月24日

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