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東北大が合成、無害で低コスト「太陽電池材料」の可能性

東北大が合成、無害で低コスト「太陽電池材料」の可能性

(左)固体セレンと、(右)アルカリニクトゲン化合物の結晶構造(NaPを例として)(東北大学提供)

東北大学の熊谷悠教授と森戸春彦准教授らは、無害な太陽電池材料としてリン化ナトリウムを合成した。発電効率に影響するバンドギャップが1・66電子ボルトと最適値の1・5電子ボルトに近い。リンとナトリウムは安価に手に入る元素のためコスト競争力が期待される。他の研究チームと連携してデバイス開発を進めていく。

第一原理計算で新しい太陽電池材料を探索した。セレンが太陽電池材料となることをヒントに、周期表の左隣の列の元素を調べた。左隣の元素はセレンに比べて電子が一つ少ない。これをアルカリ金属を導入して補う。

アルカリ金属のナトリウムと、セレンの左隣列のリンを組み合わせたリン化ナトリウムの物性を計算すると、光吸収性能が高く有望と判明。実際に合成するとバンドギャップは1・66電子ボルト。計算予測値はバンドギャップが1・62電子ボルトのため向上の余地もある。今後、太陽電池研究者などと開発を進める。

日刊工業新聞 2023年10月10日

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