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道が無ければ斜面を削って…東北大が「自律型ショベル」開発

道が無ければ斜面を削って…東北大が「自律型ショベル」開発

急斜面を崩して登るバックホー(東北大提供)

東北大学の黒崎吉隆大学院生と大野和則教授らは、道がない環境で斜面を削って道を作るバックホーの自律動作を開発した。機体よりも高い崖や急斜面を崩して登坂する。災害現場などで複数の自動建機を運用する場合に1台ずつ操縦せずとも、切り崩してもよい場所を指定すれば移動経路を自動で構築できるようになる。

軟弱地盤を再現できるシミュレーション環境で崖と急斜面向けの自律動作を開発した。30トン級のバックホーで高さ4メートルの崖や斜度55度の急斜面に道を作る。崖では上部をショベルで掘削して土砂を手前に積み、アームを伸ばして重心を前に倒した状態で斜面を登るという動作を繰り返す。

急斜面に対しては中腹と上部を掘削して手前に積み、斜面を登るという動作を繰り返す。登れなければ掘削を続ける。シンプルなプログラムだが崖は8割、急斜面は6割の確率で登坂に成功した。実機では計測と掘削を繰り返しながら斜面に道を作ることになる。

従来はまず走行範囲が与えられるため、環境を改変せずに走れるようロボットの移動能力を高めてきた。ロボットが環境を走行に適したように変えてしまえば既存技術でも可動範囲が広がる。

土砂災害後の復旧工事への適用を想定する。現場では完全な自動化よりも、人が状況を確認することが求められる。地形を飛行ロボット(ドローン)などで把握し、シミュレーションで改変候補箇所を洗い出し、人が承認してから施工登坂するという運用が想定される。内閣府・科学技術振興機構のムーンショット型研究開発事業で実施した。


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日刊工業新聞 2023年09月14日

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