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マンションの「カスハラ」防げ…国交省が管理契約ひな型5年ぶり改定

マンションの「カスハラ」防げ…国交省が管理契約ひな型5年ぶり改定

社会環境の変化に対応したマンション管理が求められている(イメージ)

国土交通省はマンションの管理組合員(住民)による管理会社の担当者に対するカスタマーハラスメントの防止などを狙いとし、管理契約のひな型となる「マンション標準管理委託契約書」を5年ぶりに改定した。マンション建設が増える中で管理会社の人材不足が懸念されており、デジタル化や働き方改革にも対応する。住民によるカスハラは、どういう行為が該当するか明確化した。社会環境が変わる中で、双方の協力を促し良好な管理の維持を目指す。

新たな標準管理委託契約書の改正点はIT化対応、カスタマーハラスメント対応、居住者の高齢化など環境変化への対応、の大きく3点。IT対応では議事録などの書面の電子化やウェブ総会・理事会を可能とするための規定の整備、機器の貸与など管理会社側の業務範囲を明確化した。

カスハラ対応ではどんな行為が対象となるかを例示した。侮辱や人格否定発言、ネット上での誹謗(ひぼう)中傷、執拗(しつよう)なつきまとい、長時間の拘束、深夜の電話などで、管理組合には是正に向けた特段の配慮を、管理会社には毅然とした対応を求めるとした。

またカスハラ防止の観点で、組合から管理会社に業務指示を出す人をあらかじめ明確化させる。マンション管理業協会の実態調査によると、直近3年間で管理会社の担当者に対するカスタマーハラスメントの有無は64・7%(1700件)に上った。大手管理会社のある担当者は「総会で暴力的な住民から罵倒され身の危険を感じた。理事長も恐れて注意できなかった」という。

居住環境の変化対応では感染症で生活に影響を及ぼすおそれのある場合や住民に認知症の兆候があり、管理事務の遂行に影響が出そうな場合などに協議により相手方への通知事項とする。孤独死などの事件・事故時の対応も明記した。

斉藤鉄夫国土交通相は12日の閣議後会見で「私も管理組合役員の経験がある。管理会社と良好な信頼関係を結ぶことは居住環境をよく保つ上で重要なこと」とし、新たなひな型の活用を促した。

日刊工業新聞 2023年09月15日

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