東芝が首都高でローカル5G実証、分散型アンテナの有効性確認
東芝は首都高速道路における第5世代通信(5G)を地域限定で利用する「ローカル5G」の実験において、独自の分散型アンテナシステム(DAS)の有効性を実証した。高速道路上のカーブ区間で他者土地への電波漏えいを抑制するなど、安定した通信品質を確認した。同時に実施したスマートグラスを用いた点検業務支援システムの有効性も実証した。これらの結果を受け、DASを12月に販売し、ローカル5Gの普及を後押しする。
総務省が実施したローカル5G実証のうち、首都高速道路(東京都千代田区)が代表機関のコンソーシアムにおいて、東芝グループの東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)とノキアソリューションズ&ネットワークス(東京都港区)が今回の実証を担当した。
DASは基地局から届く電波を光ケーブルによって分配し、通信エリアを拡張するシステム。電波の届きにくい屋内だけでなく、駅や空港など屋外を含むさまざまな場所で使われている。東芝のDASは出力可変が可能な子機と、外付けのアンテナによって柔軟にカバーエリアを設計するなどして電波漏えいを抑制する上、子機間の無線干渉をなくすなどして通信の安定性を確保している。
実証では高速道路での直線区間は指向性アンテナを用い、カーブ区間はDASによって電波漏えいを少なくするなどし、道路上で十分な電波環境を構築できることを確認した。
一方、スマートグラスの実証では作業員の点検業務の支援システムを構築。ローカル5Gの大容量高速通信の特徴を生かし、点検現場における大容量の手順書のダウンロードと、映像と音声による双方向通信を実証した。設計書など関係書類の持ち運びや音声認識による作業結果の自動入力などにより、作業報告書作成の効率化が期待できる。
また4K映像の即時共有システムを構築することで災害時などの現場の状況を迅速に交通管理室などに伝えることにも貢献できる。
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