ドローンのプライバシーや安全性への懸念、どう払拭すべきか
飛行ロボット(ドローン)技術の将来は、プライバシーや安全性への懸念を払拭(ふっしょく)できる透明性と信頼性の高い規制環境にかかっている。日本では、航空法を改正して無人航空機の運用と飛行を規制する取り組みを行った。
ドローンの継続的な進歩と普及により、悪意のある攻撃の脅威も高まっている。近年、サイバー攻撃やテロ攻撃に用いられた海外製ドローンのセキュリティー上の懸念が浮上。日本政府は2021年度から政府が購入するドローンのセキュリティーを強化する方針を示している。
ハッカーが、悪意を持ってドローン自体を制御したり、ドローンが基地局に送信しているダウンリンクビデオや画像などを制御したりする事例がある。他の電子機器の不正侵入にドローンを利用するケースもあった。ドローンの運用は、ネットワークとアプリケーション(応用ソフト)の両方でセキュリティーに取り組むことが不可欠だ。
ドローンと関連アプリのセキュリティー監視は、24時間365日体制で行う必要がある。これは、第5世代通信(5G)を用いてネットワークを仮想的に分割する「5Gスライシング」と、ドローンをプライベート無線ネットワーク上で動作させることで可能になる。
完全にプライベートなインフラであれば攻撃経路の排除は容易だが、端末から他方の端末までの通信(エンド・ツー・エンド〈E2E〉)で実現する5Gスライシングでは、さらに考慮が必要だ。通信事業者が独自の5Gスライシングを利用することで、攻撃経路をより阻止できる。
企業、社会、政府は、より優れた自動化を可能にするツールを必要としている。費用対効果の向上につながるだけでなく、危険な作業を人間に頼らずに済むという利点もある。
こうした背景からドローンの機能も徐々に強化。強力なカメラ、センサー、赤外線画像を追加することで、貴重なデータを収集し、状況分析を向上できる。
無人航空機やドローンへの投資は今後も急増し、特に都市部、農村部、産業界の空域での運用が急増する見通し。ただ、ドローンの未来は、障害発生後、すぐに正常に戻れるミッションクリティカルなネットワークに大きく依存している。ネットワークのカバー率と安定性に関しては課題が残る。
このため、クラウドソリューション提供業者が、プライベートで安全なモバイルブロードバンド、クラウド接続、E2Eのクラウド型自動化ソリューションを提供することでドローン使用の進歩と普及を支援できる。
ノキアソリューションズ&ネットワークス執行役員 ドニー・ヤンセンス