東芝が「ローカル5G」事業化へ、電波強度改善に成功
東芝は府中事業所(東京都府中市)で、第5世代通信(5G)を地域限定で使う「ローカル5G」の電波が弱い場所での反射フェンスを用いた電波強度改善に成功した。AGCが製造現場向けに開発中の5G電波反射フェンスを今回活用した。高速大容量で低遅延の5Gは“スマートファクトリー”実現に有効だが、既存設備などのレイアウトが通信を邪魔しがちだった。
主要子会社の東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)の府中事業所にある産業用コンピューター製造ラインで、透明な電波反射フェンスを使ったローカル5G実証実験を実施。フェンスの位置と測定エリアの組み合わせを約10パターン試した。
その結果、5G基地局から発信される電波の強い場所にフェンスを設置し、電波の弱い場所へ電波を届けられることを確認した。工場建屋内で障害物の陰により弱電空間が生じると、無人搬送車(AGV)など移動体の制御が難しくなる。
今後はフェンスで対応しきれない5G電波遮蔽(しゃへい)を解決する光無線分散システム(DAS)の開発を急ぐ。2022年度に試作機をつくり、23年度からローカル5Gソリューションの事業化を計画。30年度に5G関連事業で200億円の売り上げを目指す。同社は20年11月にローカル5Gの無線局免許を交付され、各種実証実験を進めてきた。
日刊工業新聞2022年1月25日