東芝が発売、検知範囲44%拡大した多機能画像センサーの効果
東芝は従来機より検知範囲を44%拡大した多機能画像センサーを開発した。7日に発売する。オフィスビルや工場における人の在・不在や人数、活動量などを把握。照明や空調、エレベーターのほか、ビルエネルギー管理システム(BEMS)と連動し、省エネルギーにつなげる。価格は同センサー50台で照明と連携するシステムの場合、5300万円(消費税抜き)から。2025年度までに累計5000台の販売を目指す。
グループ会社の東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)が発売する。今回、東芝デバイス&ストレージ(同)の開発した画像認識人工知能(AI)プロセッサーを採用。さらにカメラをVGA(640×480画素)から5メガピクセル(メガは100万)の高解像度カメラに変更した。
その結果、センサー1台当たりの検知範囲は10・8×10・8メートルと従来機の1・44倍に広がった。このためフロアにおける設置の自由度が高まり、設置台数を減らせる。電源や通信ケーブルの配線のコストや作業時間の低減が期待できるほか、保守点検の手間も削減可能となる。
一般的な赤外線のセンサーと違い、人が大きな動作をしなくても検知可能。従来はオフィスで着座して作業している時など、人の動きが小さいときには検知できずに消灯してしまう場合があったが、こうした事態は起きないという。照明だけでなく、在室人数に応じて空調の設定温度や換気量を細かく設定できるため、より効果的な省エネが期待できる。
また、USB2・0を拡張インターフェースに採用しており、各種通信機器などへの連携の自由度を持たせた。取得した画像データの出力は行わず、演算結果のみを出力することによりプライバシーや機密情報の扱いに配慮した。
さらに今後、深層学習(ディープラーニング)の手法を用いて人の形状を学習することで、人の識別をより高精度に可能にすることを目指す。人とロボットが協働する工場や倉庫でも効果的な省エネの実現につなげる。
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