LiB寿命が5倍に…スリーダムアライアンスが高温下で2000サイクル超の充放電達成
スリーダムアライアンス(東京都港区、松村昭彦社長)グループは、独自開発のセパレーターと耐高温電解液を実装したリチウムイオン電池(LiB)の充放電試験で、60度Cの高温環境でも2000サイクルを超す充放電を達成した。電気自動車(EV)に搭載した場合に容量保持率が80%に下がるまでの寿命が、従来型LiBの約5倍に延びる計算になる。11日から九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)で開かれる電気化学会の秋季大会で詳細を発表する。
電池の長寿命化に向けた技術開発に取り組むスリーダムアライアンスや、傘下のnoco―noco(ノコノコ、シンガポール)が進めている研究の成果。耐熱性が高いポリイミド樹脂を基材に用いて独自開発した多孔質構造のセパレーター「X―SEPA」と耐高温電解液を実装したLiBの充放電サイクル試験において良好な結果を得た。
LiBを高温環境で使うと寿命が大幅に縮むが、沸点が高い耐高温電解液を使えば劣化を抑制できる。だが粘度が高い耐高温電解液は、ポリプロピレン製の汎用型セパレーターにしみ込ませるのが難しく、実用に向かなかった。X―SEPAと耐高温電解液を組み合わせた研究の成果を受け、高温環境に適応するLiBの実用化に弾みが付きそうだ。
日刊工業新聞 2023年09月07日