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LiB・燃料電池で矢継ぎ早に建機開発、コマツが挑む脱炭素化の今

LiB・燃料電池で矢継ぎ早に建機開発、コマツが挑む脱炭素化の今

3トンの電動ショベル

コマツは2022年度から始まった中期経営計画の中で、30年に二酸化炭素(CO2)排出量を10年比で50%減らし、50年までにさらにカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)を達成し、脱炭素社会に向けた価値づくりに挑戦する環境・社会・企業統治(ESG)目標を掲げた。CO2排出削減の具体的な手順では生産面で省エネルギーや創エネルギー(太陽光など再生可能エネルギー設備の導入)、製品開発で燃料消費量削減や、よりクリーンな動力源への移行を挙げている。よりクリーンな動力源とはリチウムイオン電池(LiB)や燃料電池、水素、バイオ燃料などだ。

コマツはLiBや燃料電池で、矢継ぎ早に製品を開発している。22年10月にドイツ・ミュンヘンで開いた国際建機見本市「bauma2022」に20トンクラスの電動油圧ショベルを出展。23年7月には同電動ショベルを国内と欧州市場でレンタル機として発売すると同時に、3トンクラスの電動ショベルの欧州市場投入も発表した。これとは別に、水素燃料電池ショベルもコンセプトマシンを開発し、実証実験を始めていることを明らかにした。

20トンクラスの電動ショベルを日欧で10月に投入予定

LiBは電気自動車(EV)向けではおなじみの動力源だが、建機は車体重量も動かすパワーも桁違いに大きいだけに、稼働時間や充電時間がネックになる。このため、現状では「LiBで稼働や実用に耐えるのは20トンクラスまでがせいぜい」と見ており、電動ショベルは21年から共同開発を進めている米国のプロテラ製、水素燃料電池ショベルはトヨタが製造した水素燃料電池システムおよび水素タンクをそれぞれ搭載し、実用化に向け、研究を進める。水素燃料電池も現状では価格やインフラ設備不足の問題がある。

導入ネックが多いにもかかわらずコマツが開発を進める背景は電動ショベルも水素燃料電池ショベルもCO2を出さず、カーボンニュートラル達成の有力手段と見ているためだ。同様の読みは欧米のライバルにもある。将来の競争に遅れないよう、コマツの挑戦は続く。


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日刊工業新聞 2023年08月18日

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