パナソニックエナジーがエネルギー密度5%高めた電池量産へ
英ネクシオンと売買契約
パナソニックエナジーはエネルギー密度を5%高めた車載用リチウムイオン電池(LiB)の量産に向け、電池用シリコンメーカーの英ネクシオン(オックスフォード州)と売買契約を結んだ。ネクシオンが新たに開発した高容量かつ電池充電時の膨張を抑えられる炭化ケイ素(SiC)を調達し、2025年からパナエナジーが米カンザス工場で量産するLiBの負極材に使う。契約年数・量は非公表。同材料を使い電池を量産するのはパナエナジーが初という。
新材料はパナエナジーがカンザス工場で製造する車載電池「2170=写真」に使う。一般的にLiBのエネルギー密度を高めるには、正極とともに負極のエネルギー容量の向上が必要。負極材に広く使われている黒鉛に比べ、シリコン材は約10倍の高いエネルギー容量を持つとされる。ただ、シリコンは充電時に膨張しやすく添加すると電池を劣化させる課題があった。
パナエナジーはシリコンが膨張しても耐えられるセルの設計など、シリコン材を使いこなす技術開発でこの課題を解決。今後も負極へのシリコン材添加率増加を軸に、同社のLiBのエネルギー密度で30年に現状比25%向上を目指す。
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日刊工業新聞 2023年07月27日