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あいおいニッセイが電動キックボードシェア「BRJ」に1億円出資する狙い

あいおいニッセイが電動キックボードシェア「BRJ」に1億円出資する狙い

電動キックボードイメージ

あいおいニッセイ同和損害保険は、電動キックボードシェアリングサービスのBRJ(ビーアールジェイ、東京都港区)に約1億円出資した。7月の道路交通法改正に伴い、電動キックボードは16歳以上なら運転免許証なしで乗れるようになった。需要拡大が見込まれる半面、事故の多発が懸念されている。両社は安全な走行環境の構築に向け、協力関係を強化する。

BRJが第三者割当増資で発行した株式をあいおいニッセイ同和損保が取得した。あいおいニッセイ同和損保の議決権比率は約5%。

両社は、すでに2022年に業務提携を締結。これまでにナビタイムジャパン(東京都港区)も交えて電動キックボードの最適な走行ルートをウェブアプリで案内する実証実験を実施している。また香川大学も加えて、歩行者量やクルマの交通量などから交通事故の危険性をエリア別に判定。最適なキックボードの速度を割り出す仮想現実(VR)を活用したシミュレーターも共同開発している。

今回、あいおいニッセイ同和損保は、BRJと資本関係を持つことで、さらに踏み込んだ共同開発や新サービスの創出につなげる。

具体的には、BRJが保有する電動キックボードの走行データ(8月末で10万キロメートル超)を活用し、キックボードの事故発生リスクを地域ごとに捉えて自治体に事故防止を助言するサービスを開発する予定。またBRJのサービスに安全運転講習会などのリスクマネジメントサービスを加えてパッケージ化し、自治体や企業に提供することも検討する。

電動キックボードをめぐっては、7月の法改正により、東京海上日動火災保険がシェアリング事業者向けの専用の事故受け付けサービスを開始した。キックボードは日常的な短距離移動に加え、観光客の周遊などの需要拡大も予想されている。利用者の増加に伴い、損保各社の商機を探索する動きも活発になっている。

日刊工業新聞 2023年09月06日

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