携帯3000万回線・IoT4000万回線の接点生かす、KDDIが企業向けデータ解析サービス
KDDIは5日、都内で法人事業説明会を開き、2024年春にも業界ごとのデータ解析基盤を提供する方針を明らかにした。連結子会社のフライウィール(東京都千代田区)が手がけるデータ活用基盤を用い、KDDIと顧客企業のビッグデータ(大量データ)を融合。生成人工知能(AI)導入支援なども組み合わせ、データ分析による新規ビジネス創出を支援する。企業向けデータ解析サービスを強化し、法人事業の柱に育成する。
「企業が単独でIT投資をするだけでは日本のデジタル変革(DX)をスピードアップできない」―。KDDIの桑原康明専務は、業界別のデータ解析基盤投入の狙いをこう説明する。
KDDIの強みは携帯通信用ID3000万回線、法人顧客基盤40万社、IoT(モノのインターネット)4000万回線という巨大な顧客接点を持っていることだ。この強みを生かすのがフライウィールのデータ活用基盤「Conata(コナタ)」。複数企業の受発注データや顧客データと、KDDIが持つ位置情報や属性データをコナタ上で連携。顧客の移動時間や手段の把握が可能となり、最適なマーケティングや広告掲載ができる。
9月には米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフトとの連携を発表。生成AI関連サービスを提供する各種企業と組んで顧客企業が最適な生成AIの選択可能な環境を整備した。
国内DXサービスはこれまでサービスのデジタル化による業務効率化が主流だった。今後はデジタル化の進展で、データを基に問題点を見える化し改善するデータドリブン経営関連の需要が高まる見通し。KDDIはデータ分析や生成AI導入支援サービスを自動車、鉄道、建設・不動産、エネルギーといった業界ごとに用意した上で顧客企業に合ったソリューションの提供を目指す。