ドコモ・SBは営業増益、KDDIは営業減益…携帯3社・4―6月期の中身
携帯通信3社の2023年4―6月期連結決算は、KDDIを除く2社が営業増益となった。法人事業をはじめとする非通信領域が業績をけん引した。一方、主力の個人向け通信事業では、通信料金の引き下げ影響で低迷が続く。6月以降、NTTドコモやKDDIで料金プランを刷新する動きも出ており、他社への転出抑制や新規顧客の獲得につなげて同事業の収益を改善できるかが問われる。
ドコモは金融・決済をはじめとするスマートライフ事業が、新規領域への投資に伴って営業減益となった。だが法人事業の好調や個人向け通信事業のコスト削減などでカバーし、連結の営業利益は増益となった。
ソフトバンクは個人向け通信料の値下げが響いたものの、デジタル変革(DX)の機運を背景に法人事業が堅調に推移。メディア・電子商取引(EC)事業も販売促進費の減少などにより営業増益となった。
他方、3社で唯一営業減益だったのがKDDI。楽天モバイルに回線を貸す「ローミング」収入の減少や、前年同期の会計処理などが影響した。ただ、今後ローミング収入の減少幅は縮小する見込みで「通期予想に対しては想定通りの進捗(しんちょく)」(高橋誠社長)。
ドコモは携帯通信サービスのデータ利用量が少ない利用者向けに、新料金プラン「irumo(イルモ)」の提供を7月に始めた。島田明NTT社長はイルモの進捗について「ポートアウト(転出)影響はプラスに効いていると聞く」と話す。
KDDIも携帯通信サービスのサブブランド「UQモバイル」の料金プランを6月に改定した。こうした料金刷新の動きが、各社の個人向け通信事業の収益改善に寄与するのか、注目が集まる。
24年3月期連結業績予想は、3社とも据え置いた。
日刊工業新聞 2023年08月15日