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AMR市場で急成長 デンマークMiR社、累計8000台超の導入実績を達成

世界的な工場自動化ニーズを背景に、AGV(無人搬送ロボット)を含むAMR(自律走行ロボット)市場が拡大している。矢野経済研究所が2022年7月に発表した調査によると、出荷台数7700台、出荷金額198億7000万円を見込む2022年度に対し、2025年度には同9950台、同274億9000万円に成長すると予測する。

中でも、同市場で急成長を続けるのが、2023年5月31日に設立10周年を迎えたデンマークのMiR(モバイルインダストリアルロボット)社。世界60カ国に約220の販売代理店や認定システムインテグレータを抱え、2023年5月時点で、ワールドワイドで累計8,000台以上の導入実績を誇る。わが国では2019年に横浜事業所を設置し、4年間で400%以上の成長を達成。現在は二桁成長を目標に掲げる。

おもな用途は構内物流となっており、工程間搬送や製造ラインへの材料投入で広く活用されている。自動車および電機分野を中心に、製造業がユーザーの9割を占め、また、食品衛生管理の観点から食品分野でも需要を伸ばしている。
加えて、非製造業での導入実績も増えつつある。病院内の手術室への各種道具の搬送やホテルでのリネン類の搬送はその一例で、労働人口の確保が課題となっているアジア地域で見られる。こうした幅広い導入実績が同社の成長をさらに加速させている。

また、先進的な導入事例があるのもMiRならでは。ここ数年、AMRの新たな運用方法として、協働ロボットの搭載により生産性向上を図ろうとする動きがある。しかし、国内ではデモレベルでの運用か、完全無人化工場での運用に限られる。おもな理由は、AMRの搭載により、その運転区域が協調作業空間になる可能性があり、かえって生産性の低下を招くから。もう1つの理由は、適用するタスク分析が適切になされていないから。
 これに対し、MiRでは高付加価値なタスクへの適用を達成しており、その一例に航空機の組立用途への適用がある。翼部品のねじ締め作業において、AMRに搭載した協働ロボットによりボルトの締め付けを行い、かつ画像処理によりねじ締結の状況確認を行っている。
 作業標準書などで『ねじ浮きなきこと』といった指示がなされているが、協働ロボット搭載AMRにより移動しながら所定の位置でねじの締め付けを行い、同時に、締め付け時のトルクおよびねじの状態を管理している。このようなトレサビリティーの確保ならびにヒューマンエラーの防止で効果を上げることで、協働ロボット搭載AMRの適用につなげている。併せて、AMRの稼働範囲を適切に定義していることも導入に至った要因となっており、このような知見を備えるのもMiRの強みだ。

現在、国内に5社のパートナー企業を確保しているが、さらなる需要拡大に向け増やす方向で検討しているとし、継続的な年率10%超の成長に向け国内市場を深耕する。

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