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協働ロボット搭載AMRの運用は、かえって生産性が下がる

人手不足に伴う工場自動化ニーズを背景に、AGV(無人搬送ロボット)を含むAMR(自律走行ロボット)市場が拡大している。矢野経済研究所が2022年7月に発表した調査によると、出荷台数7700台、出荷金額198億7000万円を見込む2022年度に対し、2025年度には同9950台、同274億9000万円に成長すると予測する。最近は構内物流に加え、隣接する工場間の搬送用途でも利用が始まっており、予測値以上の拡大を期待するAMRベンダーが多い。

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ここ数年、AMRの新たな運用方法として、協働ロボットの搭載により生産性向上を図ろうとする動きがある。展示会のデモでよく見かける光景となっているが、完全無人化工場を除き、こうした運用実績はほぼない。おもな理由は、AMRの搭載により、その運転区域が協調作業空間になる可能性があり、生産性の低下を招くからである。

協働ロボットの運用時は協調作業空間を定義し、速度制限および力制限のもとで動作することが求められる。AMRを協働ロボットの「0軸」として制限なしに運用すれば、AMRの運転区域全体が協調作業空間となり、同時に、隔離空間となる可能性がある。結果、生産性の低下につながる。加えて、0軸となるAMRの移動に伴う加速度を加味した協働ロボットの速度制限および力制限の再検証も求められる。

図 AMR(AGV)を0軸として運用すると運転区域が協調作業空間になる?(講師資料より)

そこで、協調作業空間と運転区域を切り離して運用する考え方が一般的となりつつある。すなわち、AMRの移動中は協働ロボットが停止し、AMRの停止時は協働ロボットが稼働する「相互インターロック」による運用方法である。

AMRが停止した(協働ロボットの)作業領域のみを協調作業区間とすることができ、速度および力制限下での運用領域を最小化できる。さらに、もうひと工夫としてAMRの移動中は、協働ロボットがAMRの側面を超えない範囲で予備動作をすることで生産性向上を目指す考え方もある。ただし、AMRの運転時と停止時における制限空間の適切な切り替えといった課題がある。

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