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電子黒板「レグザキャンバス」が注目される理由

電子黒板「レグザキャンバス」が注目される理由

電子黒板「レグザキャンバス」はディスプレーへの書き心地を追求した

TVS REGZA(TVSレグザ、川崎市幸区、王偉社長)の電子黒板「レグザキャンバス」が注目を集めている。「大型のタブレット端末」(ビジネスソリューション部の松本弘幸部長)とも言える製品だ。画面に文字を書き込んだり、インターネットに接続したりできる。

コロナ禍を経て社会や産業のデジタル化が進む中、従来の黒板やホワイトボードから電子黒板に移行する動きが出てきた。TVSレグザは電子黒板分野で後発だが、安価で手に取りやすい点を訴求。2024年には新製品の投入も計画している。

「日本市場は海外と比べ、情報通信技術(ICT)化が遅れていた」とビジネスソリューション部の森正法副部長は振り返る。他社製品と差別化しながら、発展途上の市場をいかに攻略するかが課題となり、約1年間かけて開発した。

初号機の発売はコロナ禍前の19年11月。「誰でも簡単にすぐ使える点が好評を得た」(ビジネスソリューション部の森田直樹課長)と手応えを感じていたが、コロナ禍で在宅勤務が拡大。大人数での会話時に役立つという電子黒板の持ち味を生かせる場が減った。

一方、数人は対面で集まり、それ以外は遠隔で会議に参加するケースも増えた。こうした中、レグザキャンバスに対する認知度は上昇。23年に入り新型コロナによる行動制限が徐々に緩和されたことを受け、23年3月末にかけて出荷台数が伸びたという。

レグザキャンバスの特徴は価格の安さ。「他社の同等機種と比べると、半分から3分の2以下」(松本部長)だ。さらに画面の大きさが65インチの新製品「TD―E656TS」は従来製品から機能を拡充した。

例えば、本体だけでインターネットに接続可能にしたほか、専用のアプリケーションを通じてパソコン(PC)などの画面をレグザキャンバスに表示できるようにした。米マイクロソフトの「ワード」をはじめとするオフィスアプリの互換ソフトも搭載した。

実際に記者が書き心地を試したところ、書いた文字が画面に反映されるまでの遅延は感じられなかった。画面を黒板に近い色に変更できる点も支持を集めそうだ。

「お客さまのニーズに合わせて機能を追加し、進化させている」と松本部長は語る。将来は、米グーグルの基本ソフト(OS)を搭載したPC「クロームブック」との連携などにも注力する計画だ。(阿部未沙子)

日刊工業新聞 2023年月8月22日

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