東芝が上場廃止へ、JIP陣営からTOB開始
東芝は、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)陣営がTOB(株式公開買い付け)を始めると発表した。TOB価格は1株4620円。期間は9月20日までを予定する。JIP陣営が約2兆円で買い付ける。株主の3分の2以上が応募すればTOBが成立し、1949年以来の上場廃止となる。東芝にとって大きな節目となる。
7日に開いたオンライン会見で東芝の渡辺章博取締役会議長は、「東芝にとって8年間のトンネルを抜けるまさに節目の日だ。非公開化はこの東芝を単に良い会社から、より強い会社にするためのものだ」とTOBの意義を説明した。
東芝は、15年に発覚した不適切会計以来、経営の混乱が続いてきた。特に財務基盤の強化を目的に、海外ファンドなど「物言う株主」からの出資を受け入れてからは混乱に拍車がかかった。東芝の島田太郎社長は「現在の株主構成では中長期的に一貫した戦略を実行し、成長していくことが困難な状況にある」と指摘する。一般的に物言う株主は短期的な利益を追求する傾向がある。
TOBによって物言う株主の手から離れ、株主をJIP陣営に一本化することで、経営の混乱に終止符を打つ考えだ。
約2兆円の資金には国内金融機関が融資するほか、ロームが3000億円、オリックスが2000億円、日本特殊陶業が500億円をそれぞれ拠出することを表明している。
島田社長は出資者などに対し、「我々が成長して企業価値を高めることが出資をしてくださった皆さまに対する恩返しだと思う」と述べた。
これらの企業とも連携しつつ、中長期の戦略を描き、成長路線へと復帰する。
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日刊工業新聞 2023年月8月8日