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ニデックが存在感増す、プレス機の売上高1050億円目標前倒し

ニデックが存在感増す、プレス機の売上高1050億円目標前倒し

ニデックがこのほど買収した企業が手がけるコイル送り装置ライン

ニデックがプレス機の事業拡大に向けて体制を整えた。このほど米国のプレス機周辺装置メーカーを買収。「パズルの足りなかったピースが揃い、(プレス機事業全体の)絵が見えるようになった」(西本達也副社長)と、総合プレス機メーカーとして存在感を増している。2025年度に同事業で売上高1050億円としていた目標も1年前倒す。TAKISAWAへのTOB(株式公開買い付け)表明などで攻勢を強める工作機械事業と合わせ、機械事業が大きな成長の柱となりつつある。

買収したオートマチック・フィード・カンパニー(AFC、オハイオ州)と関連会社2社は、中・大型プレス機周辺機器の製造・販売・サービスを手がける。コイル送り装置やレーザー切断機技術などを強みに米自動車大手などとの取引があり、自動車ボディーパーツ向け市場では米国シェア約7割を握る。

ニデックはこれまで小型、中型、大型とプレス機メーカーを相次いで買収。小・中型については周辺装置メーカーを傘下に収めるなど体制を構築しているが、大型プレス機の周辺装置が“足りないピース”だった。23年度中にライン一式販売を目指し、プレス機と周辺装置の制御をどう統合するかといった詳細を詰めている。

ニデックがプレス機に本格参入したのは、1997年に小型プレス機の京利工業(現ニデックドライブテクノロジー)の買収から。もともと本業のモーター事業に必要な精密プレス加工技術を強化するのが狙いだったが、さらに米ミンスター(現ニデックミンスター)やスペイン・アリサ(現ニデックアリサ)など中・大型プレス機メーカーを買収。プレス機事業そのものの拡大に意欲を示すようになる。電気自動車(EV)向けモーター強化を目的に工作機械に参入したのと同じ構図だ。

西本副社長は「市場自体が伸びているのと、市場における我々の存在感が高まっている。一気通貫で全ラインができるので顧客の信頼も高まっている」と強調。事業拡大に向けて「既存工場含めて2カ所ほど検討している」と、プレス機事業の生産能力増強も視野に入れる。TAKISAWA買収で旋盤事業の獲得を狙うなど、21年に参入したばかりの工作機械事業ではM&A(合併・買収)による事業拡大が進行中。それに対して、四半世紀の歴史を持つプレス機事業は、総合メーカーとしての陣容がほぼ整ってきた格好だ。

今後は工作機械とプレス機のシナジーも期待される。例えば現在外注しているAFCの部品加工でニデックの工作機械などを導入・活用して内製化していくことなどを計画。減速機・工作機械も含む機械事業全体で25年度に売上高5000億円とする目標は上振れる可能性が高まってきた。


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日刊工業新聞 2023年08月07日

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