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大阪メトロが2200億円投資で加速する交通 “変革”の展望

地下鉄・バス自動運転など
大阪メトロが2200億円投資で加速する交通 “変革”の展望

運行を拡充するAI活用のオンデマンドバス

大阪メトロは先端技術導入を加速する。2025年度までに先端技術センターを整備して先端技術や知的財産権の獲得、エンジニア人材を強化し「交通の進化を確実に実現する」(河井英明社長)。地下鉄とバスでの自動運転導入へ向け実証実験をするほか、電気自動車(EV)バスの点検・整備工場を建設して保守体制を整え、35年度をめどに全車をEV化する。人工知能(AI)オンデマンドバスの運行も拡充する。安全やサービス改善などへ23―25年度累計で2200億円を投資する。(大阪・市川哲寛)

自動運転は25年の大阪・関西万博の会場である夢洲に延伸する中央線で夢洲駅と大阪港駅の間で25年度までに添乗員付き自動運転の「GoA2・5」レベルで行う。バスは万博会場内でほぼ完全な自動運転のレベル4で運行して「未来社会を示す」(河井社長)。万博後は大阪市内の走行を想定して実証実験する。

環境対策は「今後の事業展開での根幹」(同)と捉え、EVバスを25年までに174両導入し、排出ガス削減を図る。自前での保守体制を確立することで「中長期的にコストを下げられる」(同)と強調する。ただ燃料電池自動車(FCV)バスは「価格やコストで現実的ではない」(同)と導入に否定的だ。

また、AIオンデマンドバスは現在の大阪市福島区や生野区などの4区から大阪市全域へ順次拡大する。運行車両の増備と新規需要獲得で既存エリアでの運賃収入を2倍に引き上げる。配車を他社システムから自社開発システムに変更して需要に応じた車両数で稼働率を高め、運行コストで30%削減を目指す。

地下鉄では電車内での襲撃事件増を受けて25億円を追加投資して車内防犯カメラの導入を急ぐ。従来25年度までに中央線と御堂筋線の全73編成に導入する予定だったが、谷町線などと合わせて107編成に増やす。27年度末までには大阪メトロの全220編成、1356両に設置する。ただ駅間が短いため「リアルタイム監視は必要性を見極める」(大阪メトロ)とする。

さらには「交通と親和性のある事業に進出」(河井社長)して非交通事業を拡充し、経営基盤を強化する。大小さまざまな大きさの商品を多言語案内で販売する次世代自動販売機を主要駅に設置するなど、駅や沿線地域で先端技術を活用したサービスを展開する。

地下鉄の利用者は観光需要などで「順調に回復している」(同)状況で、25年度には1日当たり乗車人員は22年度比約40万人増の約260万人と想定、コロナ禍前の19年度を上回る見込みだ。先端技術で快適性、安全性を高めて効率輸送につなげ、25年度の営業利益は22年度比2・4―2・6倍の450億―500億円を見込む。

日刊工業新聞 2023年08月03日

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