住友電工がSiCパワー半導体に進出、300億円投入で新設備
住友電気工業は炭化ケイ素(SiC)半導体事業に進出する。兵庫県と富山県にSiCウエハーの工場や生産ラインを新設し、2027年10月に供給を始める。年産能力は6インチ換算で12万枚。投資額は300億円。そのうち国から最大100億円の助成を見込む。世界的に市場が拡大する電気自動車(EV)用のパワー半導体として供給し、主力の自動車事業を拡大する。
SiC半導体の基板生産ラインを伊丹製作所(兵庫県伊丹市)に設け、子会社の富山住友電工(富山県射水市)が持つ富山県高岡市の敷地に工場も建設する。年産能力は両拠点を合わせて6インチ換算で6万枚。外部調達も含めて年間12万枚の能力を確保し、伊丹製作所でエピタキシャル技術により基板に薄膜結晶を形成する。
住友電工は半導体事業で、第5世代通信(5G)基地局向けや交通管制の通信用などに不可欠で競合の少ないガリウムヒ素・インジウムリンなどの化合物半導体を手がけている。SiC半導体は省エネルギー性能に優れるパワー半導体に使われ、電子機器用に需要が拡大している。化合物半導体で培った技術を生かし、SiC半導体の研究開発にも取り組んできた。
【関連記事】 パワー半導体の規模拡大に消極的だった富士電機が攻めに転じたワケ
日刊工業新聞 2023年07月31日