泡盛粕で牛のメタン減、ロート製薬など確認
ロート製薬とやえやまファーム(沖縄県石垣市、中家勝則社長)は、泡盛の製造副産物である蒸留粕(かす)を発酵した飼料を牛に与えた結果、かみ直して摂食する反芻(すう)家畜の主要エネルギー源とされる短鎖脂肪酸の糞便中の量が増えたのを確認した。一方で呼気中のメタンガスの濃度や発生量が減少した。脂肪合成材料にも使われる短鎖脂肪酸の増加と肉質、脂肪の質の改善に関する研究を進めて、泡盛粕を用いた循環型農業につなげる。
泡盛粕飼料の牛の糞便を測定した結果、短鎖脂肪酸の一種である酢酸、酪酸、プロピオン酸の量が通常飼料の牛より多かった。泡盛粕が牛の腸内環境に影響を与える可能性が示された。
また呼気中のメタンガス濃度を比較すると泡盛粕飼料の牛は通常飼料の牛より低く、発生量を算出するとほぼ半減していたという。日本のメタン排出量のうち牛など消化管内発酵で排出されるメタンは27%を占めており、温室効果ガス(GHG)削減につながる技術としてメカニズムの解明を目指す。
日刊工業新聞 2023年月7月11日