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三井住友カードは受注30倍…キャッシュレスデータでマーケ支援、サービス需要が拡大中

三井住友カードは受注30倍…キャッシュレスデータでマーケ支援、サービス需要が拡大中

三井住友カードが手がけるカステラでは、決済データを分析し、データを視覚的に表示する

カード会社がクレジットカードやスマートフォンによるキャッシュレス決済のデータを活用し、企業や自治体のマーケティングを支援するサービスを拡大している。先行する三井住友カードは、2022年度の受注件数が20年度と比べて約30倍に増加した。新型コロナウイルス感染症で変化した消費者の行動やインバウンド(訪日外国人)需要をキャッシュレス決済データから捉え、商品・サービス戦略に生かそうとする企業や自治体が増えている。キャッシュレス決済の拡大とともにサービスの需要が高まりそうだ。(石川雅基)

「自社で取得できるデータだけでは得られる示唆に限りがあり、施設外の傾向をつかめないことが課題だった」。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイ(大阪市此花区)のマーケティング担当者は、これまで持っていた問題意識をこう説明する。

そこで同社は三井住友カードのキャッシュレス決済データを使った分析支援サービス「カステラ」を導入。キャッシュレス決済データから年間パスを購入する可能性のある人を予測するモデルなどを使って、購入者を増やすための施策につなげた。

キャッシュレス決済の増加に伴い、カード会社が分析できるデータの量も増えている

カステラは、カード会員の年代、年収、家族構成、年間利用額などの属性データ、カード利用金額、利用時間帯、利用エリアといった加盟店決済データを使って、顧客行動を詳細に分析できるのが特徴だ。ダッシュボードで状況を視覚的に把握できる。

三井住友カードが分析対象にする「会員数、加盟店数は業界最大級」(マーケティング本部データ戦略部の平野雄介シニアデータビジネスプランナー)を誇る。訪日外国人の消費行動も分析できるため、観光施策の立案に取り組む自治体からの引き合いも増えており、「受託件数の約半数を自治体が占める」(同)状況だ。

経済産業省によると、22年度のキャッシュレス決済比率は36・0%で、取扱高は100兆円を突破し、111兆円まで拡大。カード会社が取得、活用できるキャッシュレス決済データが年々増えている。

カード各社は増加するデータを有効活用し、サービスを新たな収益源や加盟店拡大のツールにしたい考え。みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のオリエントコーポレーションは、主に加盟店向けに展開するデータ分析サービスを24年度までに累計100件まで増やす方針。三菱UFJニコスは営業部門を中心に、データ分析サービスの開発の検討を始めた。

三井住友カードの平野シニアデータビジネスプランナーは「グループが保有する顧客データや店舗が持つ販売時点情報管理(POS)データなども活用したい」と力を込める。経済活動が活発化する中、サービス競争が激しさを増しそうだ。


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日刊工業新聞 2023年月6月27日

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