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岡三証券グループが中核会社2社の統合で描く先進サービス

岡三証券グループは、2022年1月に中核会社の岡三証券と岡三オンライン証券を統合する。顧客データや間接部門の共有化に加え、商品やサービスを拡充していく狙いがある。オンライン取引を求めるデジタルシニア世代の増加や、投資相談をしたい若年層ら新たな顧客ニーズの拡大に対応していく。「対面と非対面の顧客は異なるようで徐々に似てきている」(新芝宏之社長)ことから2社の融合で先進的なサービスの提供を目指す。

岡三証券グループは、岡三証券を含む証券会社7社をはじめ資産運用やシステム会社などを傘下に置く。さらに友好証券や同業取引先、IFA(独立系金融アドバイザー)などを含めて約100社に上る独自のネットワークを持つ。対面サービスの岡三証券は口座数が約50万口座ある一方で、2006年に設立した非対面の岡三オンライン証券は約30万口座を持つ。資産の大きさや収益は異なるが、最近は圧倒的にオンライン証券を入り口とする顧客が多い。新芝社長は「今後も投資経験のない人への認知度やブランド力を高めていくにはオンラインが欠かせない」と語り、対面と非対面チャネルの融合で顧客体験(CX)向上につなげていく。

グループ経営における基本方針の一つが分権化と集権化から成るプラットフォーム戦略だ。顧客接点となるプロフィット業務領域においては、独立した経営判断ができるカンパニー制などを活用して意思決定に必要な権限を委譲する。一方で商品開発や情報、システム、管理といったファンクション業務に関しては共通化と効率化を推進。各機能を直系証券や友好証券などにプラットフォームとして提供することによってコスト削減につなげ、それを新たな投資に回す。新芝社長は「プロフィットはどんどん分権化し、ファンクションは集権化していく」と強調する。

3月にはIFAビジネスのノウハウを持つ証券ジャパンを子会社化した。「IFAはこれまでの会社の概念を壊し、個人の働き方を変えていく可能性がある」(新芝社長)と期待する。

日刊工業新聞2021年11月29日

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