地震時の住宅損害推定、旭化成ホームズが木造向けシステムを開発する狙い
旭化成ホームズは地震発生時に建物の損傷具合を即時推定するシステムの適用範囲を広げる。鉄骨を用いた自社のプレハブ工法の住宅向けに使用しているが、まずは木造住宅向けの開発を検討する。災害復旧の迅速化に貢献するとともに、地域の中小ビルダーにデータを提供するという新たなビジネスモデルにつなげる狙い。
プレハブ工法の住宅向け防災情報システム「ロングライフイージス」の木造住宅版を開発する。木造住宅の構造データを得るには新たな解析や統計処理が必要となる。今後、協業先を募り、木造住宅の構造研究に取り組む。
同システムは旭化成ホームズが自社の住宅に設置した地震計や東京ガスネットワーク(東京都港区)と防災科学技術研究所から得た地震情報、建物の構造情報を掛け合わせることで、地震発生後10分から2時間程度で建物ごとの被害状況や液状化発生状況を推定する。2月から本格運用を始めた。
住宅メーカーは住宅販売だけでなく、修繕や外壁塗装、保険の提案など施主との関係を継続することでも収益を得ている。災害発生時には、主に電話や現地訪問によって各戸の被害状況を確認している。ただ、問い合わせ窓口は混雑し、修理点検のために人手が不足するため被災地以外の工事が遅延することもある。
地域のビルダーも同様の課題を抱えており、建物の損傷具合を推定するシステムを活用することで顧客獲得や顧客満足度向上につなげられる。
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日刊工業新聞 2023年06月14日