コスモVS旧村上ファンド対立激化、買収防衛策の是非問う
コスモエネルギーホールディングス(HD)と村上世彰氏が関わる投資会社、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)との対立が激化している。コスモはシティが所定の手続きに従わずに同社株を買い増す場合に限り、新株予約権の無償割り当てなどの買収防衛策を発動することの是非を22日開催の株主総会に諮る。しかもシティを除く異例の形で採決する構えだ。「強圧性にさらされる一般株主の保護」を主張するコスモに対し、シティは「発動の是非を判断する機会を株主から奪う」と反論。一般株主の判断が注目される。
コスモHD株を約20%保有する大株主のシティは、製油所の統廃合や再生可能エネルギー子会社の分離独立、株主還元の充実を要求する。コスモ側はこれらに反対しており、とりわけ再生エネ事業をめぐっては、人材や資金調達力を生かす観点からグループ全体で成長させるとの立場だ。
コスモによると、当初は20%以上のコスモHD株を取得しないことを前提に進められてきた両者の対話だが、30%取得をほのめかすシティの発言にコスモ側は警戒感を強め、2023年1月に買収防衛策の導入に踏み切った。さらにシティは株主総会まではコスモ株を取得しない意向を示しているとするが、「裏返せば総会後、直ちに取得するとの表明」(コスモHD)と受け止めている。
焦点となる特定の株主を除いた採決方法の妥当性について、コスモは「強圧性」を主張。株主総会後に一般株主が「落ち着いて十分な情報に基づき投資判断できない」状況にさらされる事態を防ぐためと説明する。
ただ、コスモは買収防衛策の発動に際しては慎重姿勢を堅持する構えだ。「議案の可決イコール発動ではない」(同社)とした上で、有効期限も「最長でも1年以内にとどめる」(同)など濫用の意思はなく、あくまでシティに限定した対応だと理解を求める。
自社が置かれた現状を「有事」と訴えるコスモに対し、シティは「株主価値を毀損(きそん)しているのはコスモ社の経営陣」と主張する。アクティビスト(物言う株主)が存在感を増す中、一般株主が両者の主張をどう受け止めるのか。予断を許さない。