燃料油需要は長期減少…「給油所にコインランドリー」を収益源に
石油元売り大手が給油所内外の生活関連サービスを拡大する。JXTGエネルギーは給油所に併設するコインランドリーの年内のサービス化を検討する。出光興産は小型電気自動車(EV)のカーシェアリングの実証地域を年内にも2カ所に増やす。燃料油需要の長期的減少が見込まれる中、生活サービスを新たな収益源に育てる。
JXTGエネは完全子会社ENEOSジェネレーションズ(横浜市西区)が運営する給油所でコインランドリー併設型を実証中だが、年内に正式サービス化を検討する。大田勝幸JXTGエネ社長は「給油所との親和性がある。可能性は大いにある」とする。
出光は2019年から始めた岐阜県高山市・飛騨市で始めたEVカーシェアについて、年内に関東地域でも開始する。小型EVのタジマモーターコーポレーション(東京都中野区)との提携を生かし、同社車両を引き続き活用する。EVのメンテナンスノウハウを蓄積する狙い。木藤俊一出光社長は「将来は給油所でEVの整備を手がけたい」と話す。JXTGエネも19年に広島市中心部で始めたカーシェアの実証について、20年度内に有償サービス化を目指す。将来は給油所での実施も視野に入れる。
各社は給油所関連のデジタル活用も進める。コスモエネルギーホールディングス(HD)は顧客向けアプリを19年に刷新し、ガソリン価格の上昇・下落から給油の推奨時期を知らせる機能を加えた。桐山浩社長は「良いアイデアを追加し、顧客向けプラットフォームにしたい」と将来像を示す。
同社の給油所数は約3000で、最大手JXTGの約1万3000に比べて少ない。アプリで差別化し、給油所数の差をカバーする方針だ。
日刊工業新聞2020年1月9日