量子産業団体、G7で国際協調を提言した意義
量子技術による新産業創出協議会(Q―STAR、島田太郎代表理事=東芝社長)など、日米欧カナダの量子産業団体は、先進7カ国(G7)の科学技術大臣らに国際協調の重要性を提言した。量子コンピューターや量子通信などの量子技術は基礎的な技術実証が進み、世界中でユースケース(活用例)を探している。G7で指針やフラッグシップとなるプロジェクトを打ち出せれば、中国などを含め世界に向けてリーダーシップを発揮できる。次回以降のG7に向けて組成できるか注目される。(小寺貴之)
「G7各国の量子技術における産学官の国際連携など、認識が共有されることを期待する」―。内閣府の高市早苗科学技術担当相はQ―STARなどが開いたハイレベル会合に期待を寄せた。同会合では日米欧とカナダの4量子産業団体とG7各国メンバーが主催し、量子技術の国際協調について議論した。カナダのQICのスコット・トッツケ暫定常任理事からは、連携のための共通ポリシーの策定や金融システムをユースケースに国際的な相互運用性を検証するプロジェクトが提言された。
標準化も国際協調で挙げられたテーマだ。米国のQED―Cのセリア・メルツバッハー常任理事は「ベンチマークなど量子技術の評価法を共有し、コストを下げるべきだ。標準に必要な要素は何か議論したい」と提言する。こうした活動をG7各国がサポートすることが重要になる。
この認識は共有されている。Q―STARの島田代表理事は「出席したほぼ全ての閣僚が標準化の重要性について言及した。我々はそれをいかに進めるか、方法論を提示する」という。分野やアーキテクチャー(設計概念)、階層ごとに整理し、ユースケースを作っていく方針だ。
次の焦点はG7として推進する意義のあるフラッグシッププロジェクトの組成だ。量子産業団体は量子技術をいかに社会実装するかというシーズを出発点として国際協調を組み立てている。だがG7の政府が推進するには、気候変動や食糧危機などの地球規模課題といったニーズに立脚させる必要がある。G7として推進する姿を世界に示し、波及させる意味があるためだ。
そのためには世界の課題と量子技術のポテンシャル、産業界が投資できる事業可能性の三つを満たすテーマやプロジェクトを設計する必要がある。今回は議長国の日本が量子とG7の接点を設けた。次のG7はイタリアが議長国だ。イタリア政府は量子技術を日米カナダほど強く推進しているわけではない。この1年間は量子業界にとって重要な準備期間になる。