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トヨタは過去最高…自動車世界生産は4年ぶり増加、それでも漂う不透明感

乗用車メーカー8社が27日発表した2022年度の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年度比4・1%増の2418万5892台で、4年ぶりに前年を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大以前の水準にはまだ届かないものの、新型コロナ感染拡大や部品供給不足などの影響が前年度よりも薄らいできた。先行きを見通すのが難しい部分もあるが、各社の生産は着実に回復している。

海外生産はコロナ禍や部品不足の影響を受けつつも、前年度からの反動で同2・5%増となった。メーカー別の世界生産は、トヨタ自動車が同6・5%増の913万247台で過去最高。マツダダイハツ工業スズキSUBARU(スバル)はそれぞれ増加率が同2ケタとなった。日産自動車は国内生産が同33・8%増だったが、世界生産は同3・7%減と5年連続で前年度を下回った。ホンダは米国で7年ぶり、国内で4年ぶりに前年度を上回ったが、世界合計では同7・8%減と4年連続で前年度より減少した。

3月単月の世界生産は、前年同月比9・6%増の243万9028台となり、2カ月連続で前月を上回った。メーカー別では、スズキを除く7社が前年同月を上回った。トヨタは単月としての世界生産が同3・8%増の89万9684台で過去最高、3カ月連続の前年同月超え。半導体需給逼迫(ひっぱく)による部品不足の影響を受けているが、アジアや国内で新型コロナ感染拡大の影響が減った反動が寄与した。スズキはインドなどの生産が減少した。

4年ぶりに世界生産が前年度を上回ったが、半導体などの部品不足の状況は依然として課題となっている。新型コロナの影響は中国でも薄らぎつつあるが、新たな変異株が広がる可能性を拭いきれないなど、不透明感がある。一方、各社では部品調達や感染症への対策も進んできており、コロナ禍以前の水準を目指して順調に生産を回復したいところだ。


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日刊工業新聞 2023年04月28日

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