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産廃の余剰汚泥最大100%削減、小松マテーレが新技術で減容化参入

産廃の余剰汚泥最大100%削減、小松マテーレが新技術で減容化参入

小松マテーレ美川工場(石川県白山市)内の排水処理場でベリフォーマーを実証

小松マテーレは排水処理の際に生じる産業廃棄物の余剰汚泥を最大100%削減する汚泥減容化バイオ製剤「ベリフォーマー」を開発した。併せて公共の排水処理施設や化学工業の工場など余剰汚泥の排出量の多い施設への営業を本格化し、減容化事業に参入した。同事業で2025年度中に50億円の売上高を目指す。産業廃棄物の中でも余剰汚泥は排出量が多く、その新たな削減技術は注目されそうだ。

排水処理では、国内外問わず活性汚泥法が一般化しているが、それで発生する余剰汚泥が浄化能力の低下を引き起こす。そのため、定期的な除去が必要だが、コストと時間がかかる上、広域処分場への運搬は二酸化炭素(CO2)が発生する。ベリフォーマーを使えば排水を浄化する分だけの微生物量を確保すれば良くなり、従来の処理方法に比べコストを4割近く削減できる。

使用に特別な設備は不要。排水処理時のばっ気槽に添加すると、製剤内に含む特殊な酵素が微生物の死骸を分解し、汚れ成分とともに処理し、余剰汚泥を100%削減する。ただ、排水処理に凝集剤を用いている場合は、ベリフォーマーで減容できない成分があり、削減効果は80%程度になる。

小松マテーレは19年秋ごろからベリフォーマーの研究を始め、同社の工場内で一番多くの排水が伴う繊維製品の染色工程で実証試験を実施。結果、年間平均4300トンの余剰汚泥を100%削減し、処理中に発生していた年間排出量460トンのCO2を削減した。

石川県小松市内の排水処理施設でも実証試験を進め、こちらでも100%の汚泥削減を達成した。

日刊工業新聞 2023年04月26日

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