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特殊ネジのサンコーテクノ、顧客の需要変化に合わせた開発・製造ができる秘訣

機器をコンクリートなどに固定するあと施工アンカーなど特殊ネジのサンコーテクノ。洞下英人社長が父の会社を引き継ぎ、トップに就いて13年経つが「事業は環境によって変わっていい。もしかしたら後施工アンカーのない世の中になるかもしれない。その時は事業転換しないといけないし、環境や世の中に合わせた動きがとれる企業が生き残るべきだ」という。

同社の得意なあと施工アンカーも従来の対象物に簡単に取り付ける製品から、今は高強度で地震に耐えられたり、大きな構造物に使用できたりする製品にニーズが変わってきた。「それに合わせた開発と製造ができるのが当社の強み」という。その秘訣は社会への環境適応力と、人と人との結びつきを大切にする〝気づき〟と〝顧客の困りごとの見える化〟だ。

今の日本は物質的に満たされているため、自発的な気づきが遅れてしまう。同社では約7年前から社内で5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)改善活動を実施し、洞下社長も自ら社内の清掃に汗を流す。狙いについて「整理整頓で気づきを学んでいく。その習慣化でお客さまの気持ちに立ったり、必要とするモノを見つけられる磨きになる。それを大切にしたい」と話す。

5S改善活動により仕事のプロセスを改善し、繰り返し社員全員が実践して気づき力を身につけ、心を磨く。お客さまの見えない困りごとに気づいて見える化して価値を認めてもらう。見るための心磨きがそのまま企業の成長につながることを「社員にも伝えていかないといけないし、自ら先頭切ってやらないといけない。やらないと意味がない。実践を通じてできる仕組みを作るのが企業経営の醍醐味だ」と強調する。その上で「それをするには5S改善活動が手っ取り早かった。誰でもできることをコツコツ諦めずにやる続けること」という。

同社はM&A(合併・買収)で事業規模を拡大し、人員を増やしてきた。世間ではM&Aに伴い人員を削減して効率化する企業は少なくないが、人を増やしながら効率を上げ、環境に合わせて対応してきた。「企業の醍醐味は人と人とのつながりからいろいろなことが広がっていく」とし、「自然や環境に反発してはいけない。受け入れてその中でどう生きられるのかを必死に考えて行動することが企業の成長につながるのではないか」と説く。今後も心を磨いてお客さまのニーズを引き出し、事業拡大につなげる。(村上授)

【略歴】ほらげ・ひでと 90年(平2)駒沢大経営卒。94年新昭和入社、97年サンコーテクノ入社。09年取締役経営管理本部長、10年副社長、同年社長。千葉県出身、57歳。
日刊工業新聞 2023年02月21日

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