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「従来の足並みとは非連続的なレベルで改革を進める」大日本印刷の財務戦略

保有株式縮減・遊休資産を圧縮

大日本印刷(DNP)は2023年度から始まる3カ年の新中期経営計画の策定に先立ち、経営の基本方針を公表した。自己資本利益率(ROE)は10%を目標に、株価純資産倍率(PBR)1・0倍超の早期実現を掲げた。直近3期のROEの平均は6・3%、足元のPBRは0・75―0・8倍で推移する中、「従来の足並みとは非連続的なレベルで改革を進める」(若林尚樹IR・広報本部長)。

現中計では、継続してROE5・0%の達成を掲げ、22年度は6・0%で着地する見込みだ。一方、1月には東京証券取引所が、プライム・スタンダード市場で継続的にPBRが1倍を割れている企業に対し、改善方針や進展などの開示を求める措置を講じると発表。「現在の状況では市場から評価されない」(若林本部長)と判断し、今回の方針発表に至ったという。

戦略の一つは、従来から進める政策保有株式の縮減と遊休資産の圧縮だ。14年度末に269銘柄だった上場株式は、21年度末で129銘柄まで減少させたが、今後も取り組みを加速させる方針だ。また過去最大の自己株式取得も計画し、資本効率の改善を図る。

創出したキャッシュは、従来から掲げる成長領域への投資に活用する。現中計では、バッテリーパウチといった注力分野に対し、「毎年600億円前後の投資を実行」(小島拓也IR室副室長)してきた。足元では200億円かけ、黒崎工場(北九州市八幡西区)に、有機ELディスプレー製造用メタルマスクの大型品生産ラインを新設。2024年上期中の稼働を目指す。

小島副室長は「今後も注力事業の拡大と(出版関連事業などの)構造改革を進める」ことで、稼ぐ力をより高める必要性があると認識する。これら施策の推進を通じ、ROE、関連するPBRの向上につなげる考えだ。

3月、5月には経営基本方針の達成時期や具体的施策の公表も予定する。次期中計期間は同社の実行力が問われそうだ。

日刊工業新聞 2023年02月16日

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